ポンペイの壁画展 を 見ながら思いをめぐらす 2016.-7.01 -- 1

2016.07.01(20:15)

160924 森アーツセンターから下を見下ろす

 撮影場所:森アーツセンター・ギャラリーを出たところ
 撮影日:2016.06.24
 撮影機器:iPhone6

 6月24日、東京六本木ヒルズ・森アーツセンターで開催されている(7月3日まで)「世界遺産 ポンペイの壁画展」を見てきました。


160624 ポンペイの壁画展写真コーナー

 撮影場所:「ポンペイの壁画展」写真撮影コーナー
 撮影日:2016.06.24
 撮影機器:iPhone6

 ローマ帝国期の美術品としては、アウグストゥス帝の彫刻などたいへん質の高い作品群が知られていますが、では絵画はどうだったのか。
 当時の絵画というと建物内部を装飾するフレスコ画なので、ほとんど現存品がなく、一般には知られていないのが実情です。ただし、火山灰に埋もれたポンペイや、その近郊の町ヘルクラネウムでは、むしろ火山堆積物のおかげで壁画が劣化せずに残っていた、ということのようです。
 「どれ、ローマ帝国期の壁画とはどんなものだったのか、見にいってみよう」と出掛けた次第です。


160624 ポンペイの壁画展入り口

 撮影場所:「ポンペイの壁画展」入り口
 撮影日:2016.06.24
 撮影機器:iPhone6

 まず目に付いたのは「建築物を描いた壁画」、それから主としてヘルクラネウムで発見されたという「神話時代の人物(英雄、女神など)を描いた壁画」です。
 「え? これって遠近法を使っているではないか? 」というのが、真っ先に気が付いたことでした。


【サンタマリア・デル・カルミネ聖堂】

150911 フィレンツェ サンタマリア・デル・カルミネ聖堂

 撮影場所:フィレンツェ サンタマリア・デル・カルミネ聖堂
 撮影日:2015.09.11

 昨年フィレンツェの町でサンタマリア・デル・カルミネ聖堂というところを訪問しました。その中の礼拝堂「ブランカッチ礼拝堂」にマザッチョという画家が遠近法を使って描いた壁画群があります。


【ブランカッチ礼拝堂】

150911 ブランカッチ礼拝堂

 撮影場所:フィレンツェ サンタマリア・デル・カルミネ聖堂内
 撮影日:2015.09.11

 下の壁画は美術の教科書などによく出てきますので、ご存じの方も多いか、と思います。


【マザッチョの「楽園追放」】

150911 マザッチョ 楽園追放

 礼拝堂全体写真の左側壁上段、手前側にあります。


【マザッチョの「貢ぎの銭」】

150911 マザッチョ 貢ぎの銭

 これは美術史の専門書に必ず出てきます。
 二次元の絵画に三次元の空間を現出させ、あたかも現に肉体を備えた立体的な人物(イエスや使徒たち)がその空間にいるかのように描いたということで、このため、このブランカッチ礼拝堂は美術史とくにルネサンス史を志す学生は必ず訪れなければならない、とされているほどよく知られています。
 遠近法の消失点は中央のイエスの頭になっています。
 それだけでなく、礼拝堂の窓(写真の右上)から差し込む光線が使徒たちの影の光源になっていると錯覚させるように描かれ、「絵画に描かれた空間が現実の三次元空間であるかのように見せるということ」を補強しています。
 
 二次元の絵画に三次元の空間を現出させ、あたかも現に肉体を備えた立体的な人物(イエスや使徒たち)がその空間にいるかのように描いたということで、このため、このブランカッチ礼拝堂は美術史とくにルネサンス史を志す学生は必ず訪れなければならない、とされているほどよく知られています。
 この壁画が描かれたのは概ね1420年頃のことでした。それまでの西欧世界はいわゆる中世であり、ギリシャ・ローマ時代の文化などは忘れ去られ、絵画はキリスト教教義の制約のため、平面的で人間味のない表現の聖母子や使徒たちの姿をまるで記号のように繰り返すのみだったのです。
 つまり、ルネサンスの絵画というのは、遠近法を使って描かれた現実的(に見える)空間に、立体的な、いかにも人間らしい人物が描かれる、というところからスタートしたのであって、だからこそ、マザッチョの壁画は画期的だと讃えられ、多くの画家たちの模範となったのでした。


【サンタマリア・ノヴェッラ教会のファサード】

150910 フィレンツェ サンタマリア・ノヴェッラ聖堂のファサード

 撮影場所:フィレンツェ サンタマリア・ノヴェッラ教会前
 撮影日:2015.09.10

 上の写真は、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のファサードです。ここにはマザッチョの「三位一体」という、これも有名な祭壇画があります。


【マザッチョの「三位一体」】

150910 マザッチョ 三位一体

 撮影場所:フィレンツェ サンタマリア・ノヴェッラ教会内
 撮影日:2015.09.10

 上の天蓋や下の(遺体のある)台座などから頭の中で線を引いて消失点を求めると、ちゃんと一点(イエスの足下、手前台座の上あたり)に集まっていることが確認できます。

 ポンペイの壁画の遠近法は、消失点が複数あったりしてややいい加減。ヘルクラネウムの神話などの絵も、人体デッサンがやや不正確なところが目に付きますが、まあ、画家によって上手下手は当然あったことでしょう。
 大切なことは、ルネサンス絵画の精神、「二次元の平面に描くのであっても、三次元に見える空間に人間らしい人物像が立体的な表現であたかも現に存在しているかのように描くのがあるべき絵画だ」という考え方は、ローマ帝国時代に確かにすでにあったのだ、ということです。

 ヴェスビオス火山の噴火というのは紀元79年のこと。西ローマ帝国の滅亡は5世紀の終わり頃。
 そして西欧社会はそのローマ帝国の文化を忘れてしまい、絵画については15世紀の初めになってようやく再発見し、そこから絵画の歴史は再出発しました。
 9百数十年もの間、いったい何をしていたのか。
 戦争や宗教的な制約などのために、文化の発展が何百年にもわたって停滞したということは、じつに残念なことでした。
コメント
hirugao さん、
イタリアの写真はCANON の一眼レフ使用です。念のため。
【2016/07/02 11:52】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
娘も言っておりました、都内にたくさんの美術館を回れる間に行っておこうと。

歴史の事もそうですが何よりも撮影器具がアイホンとあってびっくり・・
重くならずにいいですよね。

【2016/07/02 10:04】 | hirugao #J7S1TTU6 | [edit]
おはようございます。

建物と絵画。場所はフィレンツェ。
トスカーナは歴史がありますねぇ。
まさに、ルネサンスの都です。
イタリアは行ったことが無いです。
いつかは地中海沿岸の国へ。
ですねぇ。

さて、今朝は曇り空。
どうも夜には雨となるようです。

【2016/07/02 06:42】 | 地理佐渡.. #s/KLKpB2 | [edit]
デイックさん お早うございます(*^^*)

ポンペイ 聞いた事は有りますが良く知りません

世界遺産ですか~ 凄いですね

横須賀の猿島 先月 日本遺産に・・

スケールが違います(笑)
【2016/07/02 06:42】 | 安人(あんじん) #5ddj7pE2 | [edit]
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