
撮影場所:自宅庭
撮影日:2016.05.16
「ダフネ」は育種家・木村卓功さんが立ち上げた「ロサ・オリエンテス」ブランドの和バラです。
わが家では咲きかけたときにスキップが鉢を倒したとかで、一部は切り花にせざるを得ませんでしたが、残った花はきれいに咲きました。
「ダフネ」といっても、ヒッチコックの「鳥」の原作を書いたダフネ・デュ・モーリアの名前ではなくて、ギリシャ神話のよく知られたニンフ(神の娘)の名前をもらったものです。
下の写真で、アポロンに迫られて逃げようとしているのがダフネです。

撮影場所:ローマ・ボルゲーゼ美術館
撮影日:2015.09.04 下の写真も同じ
その物語というのは…
『太陽神アポロンはエロス(クピド)が弓矢で遊んでいるのを見てからかいました。子どもがそんなものをおもちゃにしてはいけないと。
ご存じのようにエロスは少年の姿に描かれることが多いですが、恋心と性愛をつかさどる神なのです。
腹を立てたエロスは金の矢をアポロンに向かって放つと同時に、鉛の矢をニンフ(神の娘)のダフネに射ました。金の矢は当たった者を恋に陥らせる矢ですが、鉛の矢は当たった者は何がなんでも恋を拒むようになるのです。
矢が当たったときから、アポロンはダフネに恋をし、ダフネはアポロンを拒否するようになってしまいました』
ローマのバロック期の彫刻家ベルニーニは、アポロンがダフネを追いかけ、追いすがったそのとき、ダフネが父の河の神に祈り、自らを月桂樹に変えるその瞬間を捉えています。
アポロンはさほど驚いたような顔に見えませんが、彼にはまだ見えていないのかも知れません。
アポロンに見えていないところでは、ダフネの姿はどんどん月桂樹に変わっていこうとしています。そこは彫刻ですから、ぐるりとまわっていけば「あ、なるほど…」とわかります。

バラの写真は5月16日の庭で、ベルニーニの彫刻の写真は昨年9月4日にローマのボルゲーゼ美術館で撮影したものです。