
撮影場所:Roma ボルゲーゼ美術館
撮影日:2015.9.04 以下同じ
米国の作家ダン・ブラウンの『天使と悪魔』(角川文庫で入手可能)という小説では、ローマ教皇が亡くなり後継者を選ぶコンクラーベの直前に、後継教皇として有力だった4人の枢機卿が誘拐されてしまいます。
犯人は秘密結社「イルミナティ」を名乗っています。
イルミナティは、古くはガリレオやコペルニクスの時代からローマ・カトリックが科学や芸術の自由な発展を弾圧したことを恨み、有力な科学者や芸術家たちがメンバーとして作られた秘密結社でした。
上の写真の「プロセルピナの掠奪」を紹介したベルニーニも、じつはそのイルミナティの一員だった、という設定です。

誘拐された4人の枢機卿たちは、8時間ごとに一人ずつベルニーニの作品のあるところで殺害される、と予告されたため、ハーバード大学から呼ばれた主人公の宗教象徴学者ラングドン教授は、次の殺害現場を突きとめて殺人を未然に防ごうと、ヴァチカン警察とともにローマ中を振り回されることとなりました。
登場するベルニーニの彫刻は
「ハバククと天使」サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
「聖テレサの法悦」サンタ・マリア・デラ・ヴィットリア教会
「四大河の噴水」ナヴォナ広場
そして4番目は…?
というような筋書きです。

9月の旅行でナヴォナ広場へは行きましたが、ポポロ教会は公開時間外。サンタ・マリア・デラ・ヴィットリア教会は立ち寄る時間がありませんでした。
ほかのベルニーニの彫刻作品の名作はボルゲーゼ美術館に集められているので、ここには真っ先に行きました。

ボルゲーゼ美術館の作品は、すでに「ダビデ」を紹介しましたが、「プロセルピナの掠奪」は「ちょい見せ」だけでしたので、今回の記事の写真としました。
名作「アポロとダフネ」はいずれまた紹介しましょう。
〈参考〉神話の内容
プロセルピナ(ギリシャ神話ではペルセポネ)は豊穣の女神ケレスの娘です。
冥界の王プルートーが一目惚れして無理矢理に攫い、連れ去ってしまいました。激怒した母ケレスはプロセルピナを取り戻そうとしますが、冥界のザクロの実を一度食べてしまった者は冥界に属するとの掟があります。
そこで仕方なく、プロセルピナは一年の半分は母の下で、残り半分は冥界で暮らすということになりました。
母親の豊饒の女神ケレスは娘が戻ってきたときにしか仕事をしません。これが四季の訪れの由来だと言われております。

左下、金髪の女性の仕草にご注目 !

ボルゲーゼ美術館はシピオーネ・ボルゲーゼが夏の別荘として建てたもので、見事な内装です。
〈ご注意〉
たとえば、最後の写真はISO 20000、F8.0 で撮影しています。ほかの写真も絞りはもっと開けていますが、ISO 20000 は同じです。
フラッシュ撮影や三脚の使用は禁止されています。
ふつうのカメラで撮影すると、手ブレが大きく、何とか撮れた場合でもノイズでザラザラになり、写真は使い物になりません。イタリアの美術館へ行けばこのような撮影ができるというわけではなく、機材はフラッシュなし、三脚なしの室内撮影に適したカメラを選ぶ必要があります。