
撮影場所:Firenze バルジェッロ美術館
撮影日:2015.9.11
ドナテッロがフィレンツェで活躍しはじめたのは1404年頃、絵画の世界を革新してルネサンスが始まったと評価されているマザッチョは、1401年に生まれたばかりです。
・透視図法などを利用し、三次元の世界に人が生きているかのように描く
・ギリシャ・ローマの彫刻作品のように、人体を解剖学的に理解し、写実的に描く
といったことに、画家たちがおそるおそる着手していた頃、彫刻家のドナテッロはどんどん先へと進んでいました。
ドナテッロが制作したダビデ像は、制作年代がはっきりとしませんが、比較的初期の頃の作品だと言われています。

「クラシックな、均整の取れた人体の理想像」(後述の聖ゲオルギウス像など)も制作できるし、晩年には「モデルの痛みや苦しさを感じさせるほどの写実的な作品」(マグダラのマリアなど)にも手腕を発揮したドナテッロですが、このダビデ像は何か特別な個人的な趣味の世界へ突っ走っているように感じられます。



一般的には、官能的とか貴族的とか評価されているようです。
現在ではドナテッロの代表作の一つとして知られています。
画集などでドナテッロの作品を見ていたので、私はフィレンツェを訪れる前からドナテッロのファンでした。

ダビデ像はフィレンツェのバルジェッロ美術館の所蔵作品ですが、ダビデ像を鑑賞するにはどうも照明がよくありませんでした。窓の位置とダビデ像の設置場所の関係など、もう少し考えてもらいたい、という次第で、あまりよい写真は撮れませんでした。
もしもよく撮れているように見えるとしたら、それは私の Photoshop Magic のせいでして、現場では明暗差がきつく、肉眼でも観賞はしにくく感じました。
ちなみに、上の写真の背後、壁に掛かっているのは「聖ゲオルギウス像」で、そちらもドナテッロの作品。クラシック(古典的)で端整な美しさを感じさせる壁龕彫刻です。

撮影場所:Firenze オルサンミケーレ教会
撮影日:2015.9.08
なんと、実物を撮るのを忘れていたようなので、オルサンミケーレ教会外壁壁龕のレプリカの写真を掲載します。
こんなふうに、ドナテッロは多彩な才能の持ち主です。
さて、ダビデ像の写真は明るさなどの制約からいまひとつ魅力を伝え切れていません。
仕方がないので、作品をよく見ていただくために奥の手を出します。
私が撮影したのではありませんが、copyright の制限のない Web画像を、ダウンロードして見ていただくこととしました。
この奥の手は、『聖母マリアとキリスト教伝説』(ちくま文庫)の秦剛平さんの「あとがき」で教えていただきました。

写真:Web Art Gallery 2david1

写真:Web Art Gallery 2david2
ドナテッロのダビデ像とミケランジェロのダビデ像とはずいぶんと雰囲気が違いますね。こんなふうですから、美術の世界はおもしろいな、と感じます。