MOMATコレクション 藤田嗣治全所蔵作品展示 2015.9.29 -- 2

2015.09.29(21:20)

藤田嗣治全作品展示表紙

 私は近代国絵画が好きなので、竹橋の国立近代美術館にはかなりの頻度で通っています。企画展を見に行ったときは、必ず常設展も見て帰ることにしています。
 それで気が付いたのですが、この美術館は第二次世界大戦中に描かれた「戦争画」を多数所蔵しています。それを常設展のたびに入れ替えながら数点ずつ展示している。軍部が士気高揚などの目的で画家たちに戦争画を依頼し、画家たちがそれに応じてきた様子がうかがわれます
 数ある戦争画の中でも目を惹くのが藤田嗣治の描いた絵なのですが、9月19日から12月13日までの常設展では、藤田の戦争絵画14点を含め、同感が所蔵する藤田の作品計26点を展示しています。
 海外旅行帰りで私は秋以降の美術展はほとんどノー・チェックだったのですが、「今回の San Poの会 は天候が不安定なので藤田の展示を観にいく」ということになり、久しぶりに美術展へ出かけました。


藤田嗣治全作品展示裏表紙

 1920年代、藤田嗣治はパリで成功し、1933年に日本に帰国しました。
 近代美術館の解説によると、
 「1937年に日中戦争が始まると、藤田は陸海軍に委嘱を受けて現地を取材し、戦争画の制作を始めた」とのことです。
 戦争画とはどんなものだったのか、それをどう評価するのか、私はここでは書きませんので、できればみなさんに竹橋の国立近代美術館にご足労いただき、自分の目で見ていただきたい、と思います。
 というのは、藤田の戦争画14点を一挙公開というのは、かつてないことだからです。

 1945年、進駐軍は藤田嗣治に米軍の嘱託となり、日本各地に散らばる戦争画を集めてほしい、と依頼し、藤田はこれを受けた、そうです(以降の経緯は『美術手帖』の記事を情報源に書いています)。
 ところが、米軍の上層部はやがて問題点に気が付きました。集められた戦争画を米政府としてどう評価するかによって、全作品即時廃棄するかどうか、それとも文化資産として大切に扱うのか、ということから決めなければならないと。
 結局、米軍は藤田が集めた全作品を米国に持ち帰ってしまうのですが、1970年、返還交渉の末に 153点の戦争画は国立近代美術館に無期限貸与されることになりました。
 同美術館は 1977年に全作品を公開する戦争画展を企画したのですが、過激派の動向が心配だとか、社会にどう誤解されるかわからないとか、さまざまな批判的議論があって、この企画は中止となってしまいました。
 戦争画については、いまだに常設展のたびごとに数点ずつの展示しかされていません。
 今回も形式上は「藤田嗣治の所蔵作品全作品展示」ということで、藤田の戦争画が14作品と、他の常設展示に混じってごく少数の他の画家の戦争画が展示されていました。

 藤田は戦後「戦争に協力した」などさまざまな批判を浴び、「自分はただ一兵卒として国のためにできることをしたのに…」という気持ちでいたようです。
 近代美術館の解説によると、「1949年、63歳の藤田は日本を出立。1955年にはフランス国籍を取得し、生涯日本には帰りませんでした」とのこと。

コメント
アッツ島での日本軍全滅によって、「玉砕」という言葉が使われるようになったそうですね。

また、この絵が公開されたときには、大勢の方が絵の前に正座し、長い間目して合掌していたとか。

この絵は私にとっては究極の芸術のひとつですが、

さて、それではリアリズムやジャーナリズムとどう切り離せばいいのか。残虐な場面を描いて観る者をおののかせれば芸術になるのか……ひさしぶりにいろいろな思いが渦巻いています。
【2015/10/02 08:48】 | takae h #A5.soH/6 | [edit]
FREUDE さん、小肥り さん、
戦後育ちで現場にいなかった自分としては、うかつには何も言えない、という気持ちがやはり強いですね。
ただ、大勢の人たちに見ていただきたい、と思うのみです。
【2015/09/30 18:26】 | ディック #- | [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2015/09/30 11:15】 | # | [edit]
…画家たちがそれに応じてきた様子がうかがわれます

ロシア民謡の大家であった北川剛氏が生前、
戦時中に歌った軍歌の歌い方について
私たちに教えてくださったことがあります

とてつもなく大きな力に抗わず
生きることを第一義とするのも是と思いたいものです
【2015/09/30 08:23】 | FREUDE #6AWUBD.o | [edit]
当時、名のある画家はたいてい戦争画を描いてますね。
拒否はできないでしょう。
藤田に限ったことではありません。
従軍記者から身をおこして文筆家になった人も何人もいます。
簡単には感想を言えないですね。
【2015/09/30 07:43】 | 小肥り #mQop/nM. | [edit]
おはようございます。

うらやましいですねぇ。行ったのですね。
この人の絵については以前テレビで何か
しらの特集めいた番組を見た記憶があり
ます。まあるいめがねが特徴的な方です
よね。

さて、今朝の越後は秋晴れ。涼しく
とてもすがすがしいです。そろそろ
出勤です。


【2015/09/30 07:06】 | 地理佐渡... #s/KLKpB2 | [edit]
「アッツ島玉砕」については、戦意高揚どころか、厭戦感が感じられます。

後世まで大切にしたい名画ですね。
【2015/09/29 22:40】 | takae h #P6LiJWP2 | [edit]
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