興福寺 ~ 奈良ではじめて出会った寺

2011.10.08(18:00)

猿沢池階段下から見上げる興福寺五重塔111001

 興福寺はぼくにとって奈良で初めての寺となったが、中臣鎌足に始まる藤原氏の氏寺であり、古代から強大な勢力を保持していた。


興福寺五重塔見上げ111001

 奈良のお寺を初めて体験するぼくは、五重塔の大きさに圧倒されていた。高さ50m を見上げる気分はというと、木造でこのような塔を立てる当時の建築技術と、人と資金を集める権力の強さに圧倒される思いである。木造としては、東寺の五重塔に次いで日本で二番目の高さだという。


興福寺五重塔中距離111001


興福寺五重塔と東金堂111001

 2009年3月末から上野国立博物館平成館で「国宝 阿修羅展」が開かれた。ぼくの記憶では「阿修羅がやってくる」とのキャッチフレーズで観客が集まり、たいへんな混雑となった。
 当時ぼくはたいへん忙しく、見に行く時間がとれなくてとても残念な思いをした。
 10月1日土曜日の午後、その「阿修羅像」はぼくの目の前にあった。
 出会いとは妙なもので、若い頃に歴史の教科書かなにかで見てから、ぜひ実物を見たいと願い続けていたが、気がついたときには彼はそこにいたのである。
 阿修羅は「八部衆」という「仏法を守護する八神」のうちのひとつで、五部浄像のみ頭部と上半身の一部しか残されていないが、残り七体は健在だ。阿修羅像を真ん中にして、八部衆のすべてが興福寺内国宝館に展示され、当たり前のようにぼくの目の前にある。
 背の高さはどれも150cm から160cm 程度で、畢婆迦羅像がやや老相に作られている以外は、少年のような表情に作られているものがほとんどで、阿修羅像以外にも魅力的なものが多い。
 阿修羅像はその中でもとびぬけてすばらしい。ご存知の方が大半だろうからこれ以上の言葉は不要だろう。
 境内では、建物の外観を写真撮影することは許されているが、基本的に堂内での撮影は禁止されているのがふつうで、残念だが仕方がない。自分で見たままを残したいというのは、ごく自然な気持ちなのだが…。


猿沢池の夕暮れ111001

 興福寺五重塔から階段を下りたところに猿沢池がある。
 この日、五重塔と東金堂(二枚上写真の左側の建物)の前の広場に特設会場が作られて、暗くなる頃から「能」
が演じられた。あらかじめチケットを持っていないと通行はシャットアウトされて、会場を覗くことすらできない。
 近くの宿から食事に出たぼくは、猿沢池の夕暮れを眺めながら能が演じられる音声だけを味わっていた。

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 追記(20:22): 本日はウォーキングの会でしたが、横浜市内でしたから、比較的早く帰宅できました。

コメント
ころん さん、
初めての奈良のお寺ですから…、まずは塔の高さと大きさ、寺域の広さに圧倒されました。薬師寺の坊さんが教えてくださるには、奈良のお寺は、まずは見に来る人を驚かして「へへぇ…」という気持ちにさせなくてはいけないそうで…、まったくそのような体験でした。驚かされたそのあとから、今度は藤原氏の歴史ということを考えます。これまたいろいろと味わい深く感じはじめます。
【2011/10/09 22:01】 | ディック #- | [edit]
ななごうさん、
奈良へ行かれたことがないのなら、それは先日までのぼくと同じです。
ぜひ一度機会を作って訪れて見てください。首都圏のお寺を見学するのとはまったく違います。奈良のお寺を体験することには新鮮な感動があります。
【2011/10/09 21:55】 | ディック #- | [edit]
hirugao さん、
どうせ撮るならよい写真を! とは思います。よい構図を捜しながらうろうろとしていると、それなりに時間をかけていますから、歴史に想いを馳せて「ものを思う」時間も長くなり、よい時を過ごせたなあ、という感じがしてきます。お寺でいろいろな方に声をかけてみたりすると、教えられることも多いようです。
【2011/10/09 21:51】 | ディック #- | [edit]
紗真紗 さん、
修学旅行の学生たちと出会うことも多いですが、メモを取りながら歩く真剣な女学生がいるかと思うと、鹿と戯れて遊ぶ男子中学生もいます。
全般的には、歴史をしっかり勉強して下調べをしてきたほうが、はるかに楽しめるので、修学旅行で来てしまうことがよいことなのかなあ、という感じがしてなりません。
【2011/10/09 21:46】 | ディック #- | [edit]
地理佐渡さん、
いずれ地理佐渡さんも、もう一度ゆっくりと行ってみてください。
時間をかけてじっくりと回ると、いろいろなことを感じられてよいものです。
【2011/10/09 21:42】 | ディック #- | [edit]
小肥りさん、
日本の文化資産なのだから、フラッシュを焚いて他の人の邪魔をしたりしなければいいじゃないか、とも思いますが、他方、「信仰の対象をむやみに写真に撮ってほしくない」という気持ちがあるのでしょう。
50m というのは大きいです。人は遠くから見て、次に近づいて見上げて、それで全体を把握しますから、2枚目のような写真は頭の中の像であり、ちょっと変な感じもします。
【2011/10/09 21:41】 | ディック #- | [edit]
とんとん さん、
ホテルからの道を真っ直ぐ行って、階段を途中まで昇って見上げると、最初の写真の場面が見えます。木々のあいだから、奈良で初めての塔が大きく姿を見せてきます。感動です。
横浜と違うのは、この空の「雲」ですね。塔の写真を撮っても、しっかりと絵になります。
【2011/10/09 21:35】 | ディック #- | [edit]
YAKUMA さん、
>1枚目の木の葉が、スダジイかな、なんて思って
さすが…、といいましょうか、なんといいましょうか…。

中学や高校の修学旅行で行ったことがない、ということが、自分にとって幸いしているように思います。奈良のお寺は、歴史を知れば知るほど、いろいろと味わい深いです。
【2011/10/09 21:32】 | ディック #- | [edit]
こんばんは。
大木を左に据えて素晴らしい~五重塔・
撮影されましたね。
 阿修羅について、デックさまの思いがそして私たちにも語りかけてくださいました、
今ドラマ江、の戦いを見ますと関連して歴史が横に広がります。
興福寺には二度行きましたがいつ行ってもどっしりと
歴史をつないでいますね。
ありがとうございます。
【2011/10/09 21:03】 | ころん #- | [edit]
こんにちは。

興福寺の写真、良い風景ですね。
まだ奈良にもその周辺にも行った事の無い私にとって記事に写されている写真は貴重です。
撮影禁止の処が日本全国に有りますが残念です。
物を対象としていつまでも目では無い状態で残したいと思うのは間違って居るでしょうか?

今日晴れて居たら根岸に行こうと思ってましたが寒そうなので止めてしまいました。
近いうちに一度久し振りに行こうと思います。
【2011/10/09 15:36】 | ななごう #- | [edit]
ディックさま^^こんにちは~♪

興福寺の五重塔は見事のひと言に尽きますね。
それに撮影の技がものをいっております。

奈良へは、学生の時行って以来、足が遠のいております。
こうしてディックさまの観点からのお写真と解説で、
ふたたび想いを馳せてみたいと思っております。
v-22
【2011/10/09 14:22】 | 紗真紗 #- | [edit]
この五重塔葉ほんと見事ですね!
写真の撮り方のお勉強をしました。

奈良へは時々行くのですがお寺や神社の写真は難しいです。
これからは紅葉もいいので大いに出歩けます。
【2011/10/09 10:56】 | hirugao #J7S1TTU6 | [edit]
おはようございます。

朝ののんびりタイムで訪問しています。
興福寺。良いですねぇ。奈良には三年前に
行っていますが、仕事でしたので、何も
見ずに帰ってきたなと言う不完全燃焼を
持っていました。うらやましい風景。
今回の訪問でディックさんは色々お寺を
回られてきましたね。秋の奈良。良いだ
ろうなぁ..。

【2011/10/09 08:24】 | 地理佐渡.. #i104y3BE | [edit]
今はあちこち撮影禁止が多いですね。
当然のことなのですか。ボクはよくわからない。
個人の所有物はわかるけど公共のものもそうなのか。
デカイ塔ですね。それでも東寺の次・・・。
地図で調べました。浄瑠璃寺は京都と奈良の県境で
ちょっと京都側。
【2011/10/09 04:04】 | 小肥り #nLnvUwLc | [edit]
奈良から帰ってすぐにウォーキング、お元気で何よりです。
一枚目、素敵な構図を見つけられましたね。
たしかに木の葉を見るとスダジイっぽいです。

塔の写真も空に雲があって、良いですね。
【2011/10/08 22:08】 | とんとん #JwnVlrzw | [edit]
こんばんは
これが興福寺ですか。修学旅行のときに訪れたかどうか、全く記憶に無いことが今は悲しいです。
五重塔の写真は、とても素敵ですね。これで見ただけでもどこか圧倒されてしまう気持ちになります。
でも、1枚目の木の葉が、スダジイかな、なんて思って興味が行ってしまいました。
【2011/10/08 21:18】 | YAKUMA #0p.X0ixo | [edit]
山手の木々さん、
ホテルが猿沢の池の近くで、荷物を預けて向かったのがこの五重塔。だから1枚目の写真が、奈良で初めて目に入ったお寺の建物の姿です。
階段を上がってみて、その大きさにびっくりしたのなんの…。ぼくはせいぜい鎌倉ほか近隣のお寺しか知らなかったのですから。
【2011/10/08 21:02】 | ディック #- | [edit]
mico さん、
東大寺三月堂の日光・月光菩薩像が東大寺ミュージアムへ移動され、そのミュージアムは10月下旬にオープンとか、いろいろと運・不運があるのですが、まあ、「また行けばいいや」というところでしょうか。どこの寺でも何かしら修復工事が行われて幌を被っているところがあるのは、木造の建物である以上、仕方のないことなのでしょうね。
【2011/10/08 20:57】 | ディック #- | [edit]
素晴らしい五重の塔ですね。
塔もさることながら、ディックさんのテクニックが光ります。どれも素晴らしい。最後の一枚は五重の塔なしで、五重の塔と能の響を感じさせる猿沢の池。

伝わってきます。古都の栄華と静けさ。いいですねぇ。
【2011/10/08 20:18】 | 山手の木々 #- | [edit]
ディックさんの感動が伝わって来ました。
国宝級の建物がさり気なく見られます。
阿修羅像は博物館ではなく中金堂に収まっているのが本来の姿、工事が終わった中金堂で鑑賞したいと思っています。
能の音声だけでも楽しめて何よりでしたね。
【2011/10/08 19:05】 | mico #NkOZRVVI | [edit]
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