国立博物館 日本館の常設展示

2011.07.31(17:46)

世路式戦闘機110726

 国立科学博物館の常設展示のスペースとしては「地球館」と「日本館」がある。
 「地球館」は生物の進化、生態などの展示が主体となっている。
 「日本館」は「地球館」が日本に特化したものかというと、工学技術関係の展示もある。
 たとえば上の写真の零戦だ。
 コンピュータ表示パネルがあって、零戦の絵から各部のボタンを押すと、零戦の絵が動いて具体的な説明が出てくる。
 こういう表示パネルはほとんど子どもが占領している。
 ボタンを押すと絵が動くのがおもしろいので、「連打」したがる。「これは何かを伝えようとしているらしい」とか「何か意味があるのだろう」とかは考えない。触ると動くのがおもしろいのだ。
 スイッチがあれば片っ端から動かしてみる。ただそれだけで、そうすると何が起きるのかにはほとんど興味がない。やたらと何でも囓りたがるスキップと大きな差はない。
 見ていると、人間も犬も同じようなものだなあ、と思えてくる。


 日本機械学会のスペースがあって、協力企業が出品して、一時間ごとに企業の最新の工作機械の説明など、広報半分の講演をやっている。誘われてひとつ聞いてみた。所要時間約30分。きわめて精密な機械部品がどのようにして切削されて製造されていくのか、よくわかる。
 いまは工作機械そのもののダウンサイジングによる省エネ、省スペースが進められているらしい。
 じつは亡父が(社)日本機械学会の名誉理事をやっていたので、わが家には学会誌が溢れている。息子が国立博物館でこんなことをしていると知ったらさぞや驚くだろう。
 亡父自ら家族に嫌われるようなことばかりしていたから、「父のようにはなりたくない」と、ぼくは就職について父に一切相談することなく金融関係へ進んだ。物作り、機械いじりのようなことは、ほんとうは大好きだったのだ。
 まあ、世の中とは往々にしてうまくいかないものだ。


渋川春海の天球儀110726

 上は江戸時代に製作された天球儀だ。
 江戸時代という時代は、一般に思われているよりもずっと文化の程度は高かったのだ。
 『天地明察』という小説があって、この中に幕府の碁方(碁の指南をする役職)を勤めていた若者が、天文学と数学の虜になって、やがて改暦に挑むという物語だ。
 若者の名前は「渋川春海」というが、下は渋川春海が製作した銅製の「天球儀」であり、実物は国立科学博物館日本館にて保存されている。


紙張り子天球儀110726

 その隣には、渋川春海の高弟・谷秦山の家に伝来した紙張り子製の天球儀があった。春海の署名と印があるそうだ。

 ところで、工作機械を製作するにはきわめて精密な部品が必要だが、その精密な部品は工作機械とマイコン(マイクロコンピュータ) がなければできない。マイコンは工作機械がなければ作れない。
 大災害でも起きて、工作機械やコンビュータが壊滅したら、人類は一から道具づくりをやり直さなければならず、文明は壊滅状態になるなあ、などと思い巡らす。知識だけではダメなのだ。道具類も順番に積み上げ式で作られてきたものなのである。

コメント
こんにちは。

初めて聞かせていただく書名です。
さすがですね。たくさんの本を読
んでおられるディックさんですか
ら、素早い反応で驚いています。
関孝和の名も知る程度ですが、江
戸期に優れた学者がいたことがや
はり誇るべきものと思っています。
よくよく考えますと、西洋程では
ない部分は多々ありましょうけど、
分野によっては引けをとっていない
のではないかと思うことがありま
す。

とにもかくにもありがたい情報を
いただきました。出版社はどこで
しょうか。またコメントをいただ
くついでにでも、手軽くわかるよ
うでしたらお願いします。



【2011/08/01 18:18】 | 地理佐渡.. #i104y3BE | [edit]
めいぷる さん、
「マザーマシン」、ああ、そういう表現をするのですね。
これまでとくに工作機械の分野に興味を持ったことはなかったのですが、講演はなかなかおもしろかったのです。資料がいま見つからなくて、会社の名前がはっきりしませんが、高松機械工業 さんだったような…。
たしかに地味ですが、これが日本の技術を下支えしているのだ、と感じさせました。
【2011/08/01 17:59】 | ディック #- | [edit]
地理佐渡さん、
渋川春海の登場する『天地明察』では、当然和算の話がでてきていまして、『塵劫記』にも触れられていますし、後に和算の大家となった関孝和が、渋川春海に影響を与える重要な人物として登場します。
江戸時代の文化を知る上でも、興味深い小説でした。
【2011/08/01 17:51】 | ディック #- | [edit]
紗真紗 さん、
「恐竜博」を見て「地球館」を回ったら、かなり疲れましたが、まだまだ「日本館」があるぞ! というのですから、大したものです。
今回の記事は工学技術面だけに限って書きましたが、「縄文人と弥生人」とか、「日本海はいかにしてできたか」など、おもしろい展示は多かったのでした。

キリスト教文化圏では、人間は他の動物たちと異なり特別に神が創られたと見るようですが、ぼくの目からは、人と犬とは、ちょっとした程度の違いとしか思えません。
【2011/08/01 17:44】 | ディック #- | [edit]
ディックさん、こんにちは。
いつも楽しく立ち寄らせて頂いてます。

マザーマシーンの話を久しぶりに聞きました。
重要なのですが非常に地味なこの分野に進もうとしている若者は、今では殆んどいないでしょうね・・・。
【2011/08/01 13:12】 | めいぷる #JalddpaA | [edit]
おはようございます。

NHKで江戸時代の日本の高い知識・技術を
紹介する番組がありまして、毎回楽しみに
見ています。といいましても、NHKオンデ
マンドでなんですけど。渋川春海は江戸期を
代表する学者でありますが、改めて天球儀など
見せていただけますとすごいものだと感じ入
ります。
どうも日本人は学問好きなのでしょうね。
和算もずいぶんはやったなんて言いますしね。
以前、塵劫記(たぶん字はこうだったような)
についてネットで眺めたりしてみたのですが、
ものすごい流行したりしたそうですし。

さて、ディックさんのお父上とディックさん
の選択した道の違い。これには我が家にも
通じるような気がします(笑)。我が子はオ
ヤジとは全く異なる世界へでした。

【2011/08/01 06:53】 | 地理佐渡.. #i104y3BE | [edit]
ディックさま^^こんばんは~♪

科学博物館も変わりまして、
地球館へは何度か行っておりますが、
この日本館は遠のいておりました。
零戦もあるのですね~ゆっくり見てみたいです。
江戸時代の天球儀がこれ程綺麗に残されていること、
先人の想いに驚くだけです。

>人間も犬も同じようなものだなあ、と思えてくる。
もう、面白い捉え方をされて~ですから楽しいのです(@_@;)。
あっ!所沢にも航空発祥記念館がありましてそれも面白いです。
【2011/07/31 21:50】 | 紗真紗 #- | [edit]
hirugao さん、
世間は「江戸時代を見直そう」という機運に溢れています。
花の世界でも、朝顔、はなしょうぶ などは江戸時代に作られた新種が多いのではないでしょうか。
時計とか、そういう機械仕掛けもかなり精巧なものが作られていたのではないか、と思っているのですが、そのあたり、これから調べられれば…、と思います。
【2011/07/31 21:22】 | ディック #- | [edit]
こんばんは

国立科学博物館の常設展示なのですね。
江戸時代にこのようなものが作られていたなんて凄いですね。
【2011/07/31 21:10】 | hirugao #J7S1TTU6 | [edit]
小肥りじいさん さん、
>自転軸が傾いてますがこれは地球の傾きですか
現在の地軸の傾きは確か23度ですから、大きすぎますね。
さて、なんの傾きなのか…。
いずれにせよ、星の観測はかなり精密に行われていたようですよ。
【2011/07/31 19:48】 | ディック #- | [edit]
日本館に行ってみよう。たぶん行ったことない。
ゼロ戦が見てみたい。
江戸時代の天球儀というのがすごいなあ。
自転軸が傾いてますがこれは地球の傾きですか。
【2011/07/31 19:40】 | 小肥り #nLnvUwLc | [edit]
ななごうさん、
工作機械そのものを小さくすると、省スペースから省エネルギーにつながるそうですが、質問したら、いままでの製品より高額だそうでした。
【2011/07/31 19:10】 | ディック #- | [edit]
こんばんは。

ゼロ式艦上戦闘機でしょうか?
複座式ですかね。
一度は本物を見たいです。

工作機器メーカーは次々と規模を縮小してますね。
伊勢原か秦野に有ったメーカーはまだ有るのでしょうか?

金も技術も流失してますから難しい時代に成りましたね。
【2011/07/31 18:44】 | ななごう #- | [edit]
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