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花はふしぎ/岩科司

2008.08.30(17:41)

花はふしぎ (ブルーバックス 1607)


 講談社ブルーバックスの新刊です。植物には、葉とか根とか、いろいろな部分があるわけですが、この本ではとくに「花」という器官にスポットを当てて書いています。
 第1章 花の多様性、第2章 花の色のふしぎ、第3章 開花のふしぎ、第4章 花たちの環境への適応戦略、第5章 人類によって作られた花たち、という構成になっています。

 第1章のポイントは「花は生殖器官である」ということ。花にどれほどの多様性があるにせよ、元々は生殖器官であるということに花の存在意義があります。そう考えていくと理解を間違えたりすることも少なくなるようです。
 第2章は花の色の二大色素、アントシアニンカロテノイドの解説に多大なページが割かれています。あれほど多様な色があるのに、ほとんどの花がアントシアニン系色素(赤色や紫色を発現する色素)とカロテノイド(黄色色素)のふたつの組み合わせで色を出している、というのは驚きです。いくつかの例外や色の仕組み、色が持つ意味に触れ、最後にはたとえばツユクサのような濃い安定した青色を発現する仕組みについて解説してくれます。
 第2章はとても長く、1、2章で全体の半分以上のページ数を占めます。最初は化学式の話など、基本的な話が続いて読むのがつらい部分もありますが、第2章の終わり頃から、読者にも基本的な考え方が浸透してきて、読むのがおもしろくなってきます。やはり基本として「花は生殖器官である」ことを、しっかり頭に入れておくことが大切なようです。
 第3章の開花の仕組みは、5月26日に記事にした本「葉っぱのふしぎ」とダブっています。第3章で「葉っぱのふしぎ」の復習ができます。
 第4章 花たちの環境への適応戦略 では、乾燥や高山、熱帯植物、水生植物の話など、話題が豊富で、これまでの基礎を理解していると楽しい読み物になっています。
 第5章はハナショウブなどの品種改良の話や、青いバラ、青いカーネーションなど、自然界にはない模様や色の花を創る話題です。

 「葉っぱのふしぎ」に続いて、全体を通して読むと、植物学の基本の考え方が自然と身についてきます。ぼくはいま「絵でわかる植物の世界」という植物学の基本書を、こつこつと3分の1ほど読み進めていますが、そちらもかなり役に立っていて、ちょっと自信がつき始めたところです。こういう読書とフィールドワークの双方が大切だと思うので、ブログ「デイックの花通信」のほうもひき続き頑張っていきたいと思います。

コメント
nakamura さん、いちばん大切なのはフィールドワークでしょう。
いつも原野を歩き回り、さまざまな植物の生態を見ていらっしゃる。それがすべての基本です。
ぼくももう少し余暇と体力があれば…、と思いますが、なかなかか思うようにはまいりません。
【2008/08/31 15:02】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
こんばんは。

ディックさんの写真と植物の知識があれば、鬼に金棒ですね。
これから楽しみです・・・(笑い)。
【2008/08/30 22:48】 | nakamura #- | [edit]
植物の赤のうち、身近なところでは、ヨウシュヤマゴボウの茎などがベタレインだそうですが、紫など青っぽい色もアントシアニンによるものなので、ベタレインだけでは紫~青系統の色が出せないそうです。

この本はなかなかおもしろいですよ。
【2008/08/30 21:51】 | ディック #22hNL7Yc | [edit]
ほとんどがその2つの組み合わせとは驚きですね~。
【2008/08/30 20:32】 | nekocchi1122 #4v6QK5lk | [edit]
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