2020.05.24(20:00)
H・R・ギーガーというスイスの画家をご存じだろうか。
米国のSF映画「エイリアン」のデザイナーだ。つまりはグロテスクなイメージの絵を得意としていた人である。「H・R・ギーガーの世界」という映画もあって、彼の自宅を中心に、創作方法などを紹介していておもしろい。
それはともかく、エイリアンのデザインだが、歯のある長い口、それを開くと、そこからさらにもうひとつの口が出てきて威嚇する。
以下に、「エイリアンのイメージを再現している」と勝手に私が類似性を感じている植物を紹介するが、画家自身、どこかでこうした動植物のイメージを見ていて、それをネタにイメージを膨らませているはずだ、と感じている。
【シラン】(紫蘭)

撮 影 日:2014.05.01
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF70-300mm f/4-5.6L IS USM
ギーガーの創作には、怖さと同時にエロティシズムがある。
ピンクのシランは艶やかであり、少しばかりのエロティシズムを感じさせると同時に、歯をむき出した異形の怖さをも感じさせる。
【コエビソウ】別名:ペロペロネ
撮 影 日:2020.05.12
撮影場所:自宅の周辺
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 下の写真も同じ
近所のお宅から道路側にはみ出しているコエビソウの横顔を撮っていたら、なんと口の中から口が出てきているではないか。
これぞエイリアンだ! と私は感じた。
コエビソウはメキシコ原産の多年草で、コエビソウはペロペロネの名で知られている。キツネノマゴ科だそうだ。
【アカンサス・モリス】
撮 影 日:2020.05.18
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下撮影日のみ記載
同じような花の構造をしている花が、いまの季節にもうひとつある。昨日紹介したアカンサス・モリス(ハアザミ)だ。
撮影日:2020.05.18
なんとなくエイリアンを思わせるなあ、と感じて、花を覗き込んでいたのは、この花も口の中から口が飛び出しているような感じがするからだ。
調べたら、やはりキツネノマゴ科だった
撮影日:2020.05.20
撮 影 日:2020.05.18
花は観賞する人に「顔」を感じさせる。
ゴマノハグサ科の花は「とくに異形の顔を感じさせるなあ」というのが私の感想だ。
なお、コエビソウの花は白く見える部分(つまり口の中から出ている口)のところが花の本体だ、ということだ。アカンサス・モリスも白い部分が花だ、という。
2020.05.23(19:30)
【アメリカフウロの果実】

撮 影 日:2020.05.22
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下撮影日のみ記載
これはアメリカフウロの果実だ。
一昨日くらいから、フランス人の若者アメリックの手助けを得て、庭の草むしりに力を入れている。
先日アメリカフウロの花を紹介したが、今年は草むしりが大幅に出遅れていいる。おかげでアメリカフウロがどういう植物か多少はわかってきたが、そのまま放置していたらこうなった。
《参考》アメリカフウロの花
撮 影 日:2020.05.11
結論は「おもしろがってはいられない」ということだ。根は深いし、どんどん増える。こんな植物を放置していたら、また後悔しそうだ。
というわけで、どうせまた来年たくさん出てくるだろうが、基本は「抜かなければダメ」ということだ。
【アカンサス・モリス】和名:ハアザミ
撮 影 日:2020.05.18
裏庭で成長したアカンサス・モリス。
杭が見えているのは、夏の後半からこの杭を皇帝ダリアが倒れないようにするために使うのである。
みっともないが、仕方がなく使っている。
裏庭というのは、まあそんなものである。背景のセイヨウアジサイは巨大化した白色のアジサイで、これも下から眺めるよりは擁壁の上から見下ろすほうがきれいかも知れない(笑)。
なお、このアカンサス・モリスについては、エビソウ(ペロペロネ)、シラン、とともに特集を組むつもりでいる。
【バラ「アルテミス」】
撮 影 日:2020.05.10 曇り、以下アルテミスはすべて同じ
ポール・スミスに続いて、カメラマン泣かせのバラを紹介する。「アルテミス」だ。
色を表現するとすれば「アイボリー色」ということになろうか。
背景に白い空が入るとさっぱり引き立たない。かといって、天候がよすぎるとほとんど白っぽく飛んでしまい、微妙な濃淡が表現できなくなる。
曇りの日に撮れば、今度は妙に黄色っぽくなる。
上の写真は比較的忠実に色の再現(アイボリー色)ができているようだ。
では逆に、晴れの日が続くと花の傷みが早くなる。花数が多いだけに、画面に傷んだ花が入りやすい。
22日曇り、かなり長い時間をかけて、かみさんと2人で傷んだ花の花殻摘みをやった。
今年は外出自粛ということで仕方がないが、例年も自宅のバラなどの花をしっかり撮ろうとすると、外出頻度が大幅に減少してしまう。
【バラ「ザ・ピルグリム」】
撮 影 日:2020.05.18
もうひとつ、新しいバラの紹介だ。
「ザ・ピルグリム(The Pilgrim)」はデヴィッド・オースチン社のイングリッシュ・ローズである。
黄色(ミディアム・イエロー)が花の周辺にいくほど薄くなっていくのが特徴のひとつ。シュラブ仕立てにしても、つるバラとしても使える。わが家では低いフェンスに這わせている。
地植えにして年数が経つと根付きがしっかりしてきて、今年はずいぶんと楽しませてくれそうだ。
2020.05.22(20:05)
【ツルマンネングサ】(蔓万年草)

撮 影 日:2020.05.08
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下、撮影日のみ記載
撮 影 日:2020.05.11
葉の様子がわかるように写真を撮った。伸びた蔓に3枚の葉が輪生しているのがわかるだろうか。
ツルが伸びていった先で根付くこともできる。強い植物だ。
よく似ているメキシコマンネングサの場合は、葉は通常4枚で輪生する。
なお、わが家では昨日(5/21)現在、コモチマンネングサが咲き始めている。ツルマンネングサよりひとまわり小型で、小さなムカゴ(珠芽)が目立つ。
【アヤメ】(薄紫色と濃い色の2種)
撮 影 日:2020.05.11
下の写真、やや濃い色のアヤメも咲き始めた。わが家ではアヤメは濃淡3種+白の4種を楽しめる。
撮 影 日:2020.05.12
【咲き進んだ「サー・ポール・スミス」】
撮 影 日:2020.05.10 以下同じ
ポール・スミスが咲き進んでいる。花数が増え、蔓が這い上った高いところにも咲き始めた。
ポール・スミスというバラの色は、そこら辺にありそうでいて、じつはなかなか見つからない。
レッドの成分がほとんどない「濃いマジェンタ」の色合いである。しかも花弁の裏が白いので、日の光が強すぎるとハレーションを起こしているような写真になってしまう。
花茎が細いのに花が大きいから、だらりと下向きに咲く。蔓がかなり高く這い上がっていないとうつむき加減で表情がよくわからず、肝心のところが暗くなってしまう。
じつにカメラマン泣かせのバラだ。
2020.05.21(20:00)
【コバノズイナ】(小葉の髄菜)

撮 影 日:2020.05.06
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 下の写真も同じ
コバノズイナ(小葉の髄菜)は、アメリカ東部を中心に分布するズイナ科ズイナ属の落葉性低木だ。
憶えたのは横浜市こども植物園で、花がどうこうというより、つぼみの時期からの花穂の様子が気に入った。
そんなことを少し話したら、かみさんが買ってきて植えた。
アメリカ東部では、湿地や森、小川や池の畔などに自生している、という。
観賞用としても、世界で広く栽培されている花木の一つだそうだ。
【ハナユズ】(花柚子)
撮 影 日:2020.05.015
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 下の写真も同じ
レモンに1週間ほど遅れて咲き始めた。
レモンと比較してみると、花のかたちは微妙に違うのだが、それでもよく似ている。
花を愛で、最終的にユズの代用としても使え、低木で、ユズほど年数をかけないでも収穫できるのがよい。
昨年はかみさんが「柚子胡椒」を作り、さまざまな料理に使えて好評だった。
【バラ「ジュード・ジ・オブスキュア」】
撮 影 日:2020.05.015
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
「ジュード・ジ・オブスキュア」(Jude the Obscure)は強い香りを持っている。わが家では低木として仕立てているが、環境によってはつるバラにも仕立てられるそうだ。
英国のデヴィッド・オースチン社の日本サイトからネットで苗を注文できる。
花の名称はトーマス・ハーディの小説の主人公ジュードから名付けられたと言う。Amazonで中公文庫の「日陰者ジュード」上下巻を購入可能だが、私は読んでいない。
Bookデータベースの解説によると「オックスフォードに行き、学問で身を立てることを夢見る青年、ジュード。貧困と結婚生活の失敗によって何重にも挫折していく若者を赤裸々に描き、発表当時非難の限りをあびたこの作品を最後に、ハーディは筆を折った」とある。
【バラ「ファンタン・ラトゥール」】(Fantin Latour)
撮 影 日:2020.05.015
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
1900年頃、フランスで作出されたバラ。このバラの咲き方はオールド・ローズ(ケンティフォリア・ローズ)の様子をよく伝えている。ケンティフォリア・ローズは自然交雑により生じ、16世紀頃からオランダで改良され、18世紀初めに系統として完成したといわれている。
なお、アンリ・ファンタン=ラトゥールは 19世紀後半にバラほかの静物画でよく知られ、人気のあった画家だ。
このバラは庭のバラの中でも一時はかなり数多く咲いて隆盛だった。ところが、藤を植えると東南側のパーゴラの上に藤が伸びて、このバラの位置が日陰になってしまい、すっかり元気がなくなった。
あちらを立てればこちらが立たず。なかなか難しい。
【バラ「バタースコッチ」】
撮 影 日:2020.05.06
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
この日のバタースコッチは、朝、咲き始めの様子を見たとき、これはカレー色だな、と思った。
バタースコッチは咲き始めから終わりまで、色変化が大きく、陽射しによっても様子が変わるところが魅力的だ。
いわゆるクライミング・ローズ(つるバラ)で、1986年に米国の William A. Warriner というバラの育種家が作出した。陽当たりを好むバラで、日陰になると元気がなくなるので注意。
2020.05.20(20:30)

撮 影 日:2020.05.09
撮影場所:自宅庭
2020.05.19(20:45)
スキップとの散歩は根岸森林公園でボール投げをやって走って、そのあと一周する。このパターンが、彼がもっとも満足するとわかっていたから、散策はどうしても根岸森林公園だけで終わってしまう。
その周辺には足が向かなくなっていた。
彼がいなくなってみると、ここ数年付近の様子をろくに知らないままで過ごしてきたことが、身に染みてわかってきた。
【ハタケニラ】(畑韮)

撮 影 日:2020.05.13
撮影場所:聖光学院周辺
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下撮影日のみ記載
根岸森林公園の外周から聖光学院中高等学校へ下っていく途中、突然であったこの花は何だろう。
「ハタケニラ」かなと見当を付ける。ノビルはもう少し色が付いてきれいなはずだ。ハタケニラだろう。下のほうは土塀に隠れてよく見えない。
ハタケニラは小石川植物園で憶えた。まあ、簡単に言えばネギの仲間(ネギ亜科ハタケニラ属)である。
背景のボケはヒルザキツキミソウだ。
【ヒルザキツキミソウ】(昼咲き月見草)
撮 影 日:2020.05.11
ヒルザキツキミソウが繁茂している崖が家から10分足らずのところにある、とは知らなかった。
アカバナ科マツヨイグサ属の多年草。北米原産の帰化植物だ。
雌しべが白く、炎天下ではとても見分けにくいが、開いた花に影が映るのでそれとわかる。
【エゴノキ】
撮 影 日:2020.05.13
聖光学院の外周には数多くの木が植えられていた。フェンスがあるが身を乗り出して撮影する。
エゴノキの花が咲いている。逆光になって焦点を合わせにくい上に風が吹く。近所にほかにエゴノキの花を見られるところはないと思うので、なんとかここで撮っておきたい、と奮闘した。
エゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木だ。果実を潰して川に流し、魚を麻痺させて捕獲するという方法があった、という。
【カラタネオガタマ】(唐種招霊)
撮 影 日:2020.05.13
なんと5、6本のカラタネオガタマの木がある。花が咲いているが、フェンスを乗り出して開いた花を捜し、撮影するのはかなりむずかしい。
花は数多く咲いているのに、なかなか内側が見えないし、焦点を合わせにくい。
結局ここへは3度通ったが、2回目がもっとも収穫があった。
この花は寿命が1日〜2日と短いことが知られている。次から次へと開花してもせいぜい10日間くらいだ。
カラタネオガタマは中国南部原産、モクレン科、オガタマノキ属。樹高4mくらいになるが、ここではまだ2.5m くらいだった。バナナの香りがするというが、フェンスが邪魔で薫りを嗅ぐことはできなかった。
撮 影 日:2020.05.15
【ユウゲショウ】(夕化粧)別名:アカバナユウゲショウ
撮 影 日:2020.05.13
フェンスの向こうでアカバナユウゲショウが群生している。
数が多くフェンス際にも顔をのぞかせているのを撮影した。
アカバナ科マツヨイグサ属の多年草。
【ノイバラ】(野茨)
撮 影 日:2020.05.11
聖光学院近くのマンションの植え込みで、ノイバラが咲き残っていた。
ノイバラは強健で、バラの台木として利用される。わが家のバラ「サザンホープ」はノイバラの台木にかみさんが接ぎ木して咲かせたものだ。
2020.05.18(21:15)
【ユキノシタ】(雪の下)

撮 影 日:2020.05.13
撮影場所:自宅庭
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レ ン ズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 下の写真も同じ
5月13日、イタリア山公園の外交官の家の庭でユキノシタを見て思いだし、帰宅してから自宅の東向き花壇を調べました。
例年とはまた位置を変えて、思いがけないところで花を咲かせていました。
ほかの植物の陰に隠れてたいへん撮影しづらいのですが、なんとか何枚か撮影しました。
【ツルマンネングサ】(蔓万年草)
おそらく2004、5年頃のことだと思いますが、長女が以前通っていた横浜K学園の駐車場の片隅からかみさんがこっそり採ってきたツルマンネングサです。
わが家の花壇前の私道の隅でゴミのような土埃に根を張り、毎年花を咲かせてもう約15年になります。
この繁みのほかに、庭の数ヵ所に広がり、毎年5月になると庭に彩りを添えてくれています。
ベンケイソウ科マンネングサ属。石垣、駐車場の片隅などが大好きで、地面を這って勢力範囲を広げていきます。朝鮮、中国からの帰化植物だそうです。
【バラ「月光」〜開花の様子の変化を追う】
〈5月13日朝 08:35 頃〉
「月光」は京成バラ園芸が1999年に作出したバラ。私がこの品種を憶えたのは2008年の日大藤沢キャンパスのバラ園でした。
かみさんが東南向き花壇に植えたのは5、6年前のことです。
5月13日、ようやくつぼみが膨らみ始めました。
〈5月15日朝 08:30 頃〉
〈5月15日午前 11:25分頃〉
さて、午後天気予報を確認すると、夜になると天候は荒れ、遅くにはかなりの雨量になるとのことでした。
15日夕刻、かみさんが決断。切り花にして活けて、居間に飾ることにしました。
〈5月16日午前 11:25分頃〉
花は昨晩よりずっと大きくなっています。
〈5月17日晴れ、午前 08:05 頃〉 ウッドデッキのテーブルにて
花はさらに大きくなりました。
18日昼現在、花は約2割くらい膨らんで、色はやや薄れましたが、存在感を示しています。
数年観察してきたところから、このバラの特徴をまとめると、
・典型的なハイブリッド・ティーローズで、伸びた茎の先に大輪の花を一輪だけ咲かせます。
・陽当たりのよいところが大好き。強健です。初冬にもまた花を咲かせます。
・つぼみができてから、つぼみが膨らみ始めるまで、かなり長い日数がかかり、「いったいいつになったら咲いてくれるのか」と気を揉むことになります。
・色は濃い黄色で、しかも大輪。一輪咲いただけで周囲が明るくなるほどの存在感があります。