
撮影場所:横浜市こども植物園
撮影日:2019.06.19
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
ムクロジ(無患子)は果皮がサポニンを含み、石鹸代わりに使われるとか、種子は羽根突きの羽根の頭に使われるとか、話題に事欠かないし、深大寺などでは秋の黄葉も美しい。
しかし、神社などで見られるムクロジの樹高は15m〜20m にもなる大木で、花の観察となると容易ではない。
6月19日の横浜市こども植物園では、ムクロジの枝が大きく垂れていて、花穂を撮影する絶好のチャンス。
ただ、太陽の光線がとても強く、全体が緑と黄色と白のグラデーションとなる花穂は、肉眼で見てもごちゃごちゃして、雄花の雄しべくらいしか判別できない。
仕方がないから、「まあこんな程度」といい加減な絞りとフォーカスで30枚ほど撮影した。
上の写真の花穂はつぼみばかりだが、下の写真の花穂では数多くの花が開いている。


なんとかなるもので、あとからPCの画面で見てみると、雄花だけでなく雌花と認められる花にもフォーカスが当たっている写真がある。
Wikipedia には雌雄異株などと書かれているが、それはあきらかに間違いで、ひとつの花序の中に雄花と雌花が両方ができることから、雌雄同株であることが確認できた。
そこで今回、記事にまとめてみることにした。

雄花は雄しべがはっきりと目立ち、雄しべの先端には黄色い葯が付いている。
雌花は雄しべが退化して中途半端な形だけが残っており、柱頭の下に子房がふくらんで見えている。
わかりますよね?

最後の写真では、雄しべの花糸の毛まで確認できる。
右下方、開きかけた雌花が見えている。
これらの写真の撮影中、私の周囲ではクマバチやハナアブがしきりに飛び回り、ムクロジの花が昆虫たちから好まれていることもよくわかった。