今晩の記事では「リュウキュウツツジ」(琉球躑躅)を扱う。
まずお復習いだ。
前回のツツジの記事で「モチツツジ」(黐躑躅)について「萼の辺りを触ると毛があって、ねばねばする」などと書いた。
次に、見た目がモチツツジとよく似たツツジとして「キシツツジ」(岸躑躅)がある、と書いて写真を掲載した。
もう一度写真を掲載する。
【モチツツジ】(黐躑躅)

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.04.10
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下の写真も同じ、撮影日付のみ異なります
【キシツツジ】(岸躑躅)2019.04.28撮影

次に、下にキシツツジの園芸種で「京鹿の子」の写真を掲載する。
本来のキシツツジより少し色が薄く上品になっている。
【京鹿の子】(キシツツジの園芸種)2019.04.28撮影

さて、いよいよ「リュウキュウツツジ」(琉球躑躅)だが、とくに琉球に咲いているわけではない。
リュウキュウツツジは江戸時代から栽培されており、上の写真の岸躑躅(キシツツジ)と黐躑躅(モチツツジ)の交雑種とする説が有力だそうだ。(キシツツジの変種という説もあるらしい)
「琉球つつじ」だから琉球が原産地なのか、というと、図鑑などの「自生地(原産地)」の項目には「園芸種」と表示されているのが一般的だ。
【江戸の園芸】
「なんだ! 園芸種か」という反応はちょっといただけない。
現在盛んに栽培されている花木の園芸種と異なり、江戸時代の園芸種はわが国の歴史であり、庶民文化の顕れなのだ。
江戸時代にさかんに栽培された園芸種はツツジのほかにも数多くある。たとえばサクラソウ、アサガオ、ハナショウブ、ツバキなど。
NHKでは1ヶ月ほど前から月1回「江戸の園芸」の特集番組を放送している。
さて、ツツジの話だが、津藩藤堂家出入りの伊藤伊兵衛は、藤堂家下屋敷が駒込染井に移転したとき伊藤一家も染井に居を移した。そして三代目伊藤伊兵衛は江戸一番の園芸家として知られるようになったという。
とくに知られているのは、伊兵衛は鹿児島県霧島の真っ赤なツツジを自邸に植え、「ホンキリシマ(本霧島)」としてそれを公開。それをきっかけに「ホンキリシマ」が江戸で大流行するようになったという。
【白琉球】2018.04.13撮影

リュウキュウツツジもそうした江戸園芸の流れに沿ったものだ。
リュウキュウツツジというと、「白琉球」(シロリュウキュウ)がもっとも一般的なリュウキュウツツジとして扱われているようだが、経緯はいまひとつよくわからない。
以下、小石川植物園で見ることのできるリュウキュウツツジを、名前と写真で紹介していく。
昨年の春に撮影した写真も多い。
【琉球躑躅・薄葉】2018.04.13撮影

【琉球躑躅・尾引絞】2018.04.13撮影

【琉球躑躅・藤万葉】2018.04.13撮影


【琉球躑躅・白雪】2018.04.13撮影

キリシマツツジにも「白雪」があるが、どうやらそれとは別の「白雪」らしい。
【琉球躑躅・南京紫】2018.04.20撮影

以上、リュウキュウツツジをお楽しみいただけたなら幸いだ。
4月下旬の自宅庭に咲いていた花々です。
ただし、すでに紹介済みのナニワイバラ、モッコウバラ、オオツルボ(シラー・ペルビアナ)、コバノタツナミ、バラ(エンジェル・フェイス)を除きます。
カメラ、レンズはいつもと同じ。撮影日のみ異なります。
〈4月21日 撮影〉
【アマドコロ】


【ツツジ】

【オキザリス】(品種不明)

庭のあちらこちらにあるので、かみさんが植えた園芸種が逃げだしたのだと思っていましたが、植えたおぼえはないそうです。
勝手に侵入されたらしい。
〈4月29日 撮影〉
【ヒメツルソバとセラスチウム】

右がヒメツルソバ、左がセラスチウム。
【イチハツ】

【コデマリ】


【オニタビラコとヒメフウロ】

【タイム】

【バラ ジャクリーヌ・デュ・プレ】

名前をお聞きになって、チェリストを思い浮かべた方は、かなりのクラシック好きですね。

撮影場所:横浜市こども植物園
撮影日:2018.04.23
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM

本日は都合によりブログはお休みです。2日続きのお休みでごめんなさい。

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.04.10
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
今晩は都合によりブログはお休みです。
【モチツツジ】(黐躑躅)
〈2018.04.10 撮影〉

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.04.10
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下の写真も同じ、撮影日付のみ異なります
ツツジ科ツツジ属にはモチツツジ(黐躑躅)と言われる一群がある。
モチツツジかどうか確かめるときには、花の萼のあたりを触ってみればわかる。べとついているからだ。
これは腺毛と言われるものがあって、そこから粘着性のある液を分泌しているのだそうだ。昆虫による食害を防ぐ手段として発達したと言われているらしい。
なお、雄しべは5本が基本らしいが、上の写真には6、7本が見える。
写真はほとんどが本年の撮影だが、一部昨年撮影したものも今回の記事で使用する。
〈2019/04.28 撮影〉

写真に見える雄しべの数にかかわらず、植物園の立て札は「モチツツジ」であり、花弁の模様と、花の萼の付近をよく観察すれば典型的な腺毛が見えるので、モチツツジに間違いはないだろう。
私はたぶん触って確認しているはずだ。
【キシツツジ】(岸躑躅)
〈2019.04.28 撮影〉

モチツツジとよく似ているとされる品種に「キシツツジ」がある。
モチツツジが伊豆半島以西の本州及び四国に分布するのに対し、キシツツジはもっと西、九州などの川原などに分布しているそうだ。花はよく似ているが、雄しべが10本だという。
《モチツツジの仲間たち》
さて、以降小石川植物園で見られるモチツツジの仲間たちの写真を紹介しよう。
園芸種も多くあり、「花車」「青海波」などは江戸時代からよく知られているらしい。
【ハナグルマ】(花車)2018.04.10 撮影

江戸時代から続いているモチツツジの代表的な園芸種。

【セイガイハ】(青海波)以降すべて 2019.04.28 撮影

江戸時代から続いているモチツツジの代表的な園芸種で江戸期の人々に好まれた古品種。

【アワノモチツツジ】(阿波の黐躑躅)

アワノモチツツジは阿波(徳島県)に自生。雄しべは10本。
【ギンノザイ】(銀麾)

モチツツジ系の園芸種。大正時代に目録に掲載されているそうだ。
自分の撮影した写真を見ても、何が何だか…。
【コチョウゾロイ】(胡蝶揃)

江戸時代から続いているモチツツジの代表的な園芸種。
【シロバナモチツツジ】(白花黐躑躅)

モチツツジの白花変種。
〈5月4日〉

撮影場所:自宅庭
撮影日:2019.05.04
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下の写真も同じ、撮影日付のみ異なります
2013年5月13日、西武ドームで開催された「国際バラとガーデニング・ショウ」に夫婦で出掛け、展示されていた中で気に入ったのが「サー・ポール・スミス」だった。
その場で購入して鉢植えで育て、いまはウッドデッキの中段に鉢を移して、伸びた蔓をフェンスに絡ませ育てている。

ポール・スミスは英国の男性向けファッション・デザイナーで、独特の縞模様が人気。
2016年には上野の森美術館で美術展が開催された。
そのときの様子を数枚の写真でご覧いただくとともに、バラの写真もお楽しみいただきたい。
〈2016.08.09 ポール・スミス展〉

イギリス生まれのポール・スミスは16歳でノッティンガム(イングランドのほぼ中央部)にある服飾の倉庫で働き始め、アート・スクールに通う学生たちと親しくなり、24歳の頃裏通りにわずか3m 四方の小さなショップを開いたのがデザイナーとしてのスタートだったそうだ。


〈5月6日〉

「ポール・スミス」というバラは、英国王立バラ協会の会長を務めたこともある育種家ピーター・ビールズ氏の娘さんアマンダ・ビールズさんが2006年に作出したバラ。ファッションデザイナーのポール・スミス氏の妻が、夫のために命名したという。
〈5月9日 ポール・スミス と サザン・ホープのつぼみ〉

〈5月11日〉

このバラは色は、赤紫(マゼンタ)。レッドとはかなり異なるところがめずらしく、私は結構気に入っている。
咲いてしばらくすると首を垂れるのが困るのだが、絡ませてある柵はあまり高くできない。いまのところ庭へ下りて見上げるか、咲いた花を早めに観賞するしかない。
〈5月13日 ポール・スミス と サザンホープ〉


撮影場所:小石川植物園
撮影日:2019.04.28
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下同じ
ハンカチノキの花といっても、じつは花弁はなくて、たくさんの雄花と1つの雌花が真中のところの球体をつくり、それを2枚の苞が抱いている、というかたちになっている。
昨年は「雄しべ雌しべはどうなっているのか」追究する記事を書いたが、あんな面倒なことはもうやりたくないので、今回はごく気楽に「白いハンカチ」がぶら下がっている写真を並べよう。

「ハンカチノキを見上げてわいわいさわぐ」というのは、めずらしい季節の風物を見て「自分は見たぞ」と言いたい人たちが集まって、列をなして見学して満足するという、4月終わり頃のひとつのイベントのようになっているらしい。
今年も長い連休を前に、みなさん気分が浮き浮きしていたのかも知れない。


《ハンカチノキの花の雄しべと雌しべ》

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.04.10 または 04.13
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
そうはいっても、蘊蓄ゼロというのは、あまりに「ディックの花通信」らしくないので、最後に、昨年撮影した雄しべと雌しべが判別できる写真を2枚、入れておく。
同じ写真の使い回しなら楽なものである(笑)。
