
撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.12.19
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下同じ
アブラツバキ(油椿)という和名はあまり知られていない。小石川植物園では、カメリア・ドルピフェラと学名のままの名札になっている。
ベトナム原産のカメリア・ドルピフェラ(Camellia drupifera)は、中国においては重要な有用植物らしい。
いわゆる広義の椿油「カメリア油」を採取するのである。

中国の安徽省潜山県では、2010年からアブラツバキの生産基地を建設し、その後財政豊かとなって生態環境も改善され、四季を通してうららかな景色が広がる「美しい村」の代表格になっているそうだ。
広義の椿油は狭義の椿油(ヤブツバキの種子油)とはまた別らしく、カメリア油(Camellia Oil、中国名:茶油)と呼んでいる、という。

学名から分類整理していくと、アブラツバキ(Camellia drupifera)はツバキ(Camellia japonica)でもなく、サザンカ(Camellia sasanqua)でもない。
サザンカに近い、広い意味で「種子油がとれるツバキ科の仲間」ということになろうか。
ただ、昨晩の記事の「オキナワサザンカ」と、花の見た目はよく似ているように感じられる。

整理しよう。
あくまでも植物学的に言えば、であるが、
昨晩のオキナワサザンカはツバキ属のサザンカである。
タイワンツバキはツバキでもサザンカでもないが、ツバキ属の仲間だ。
アブラツバキも、ツバキでもサザンカでもないが、ツバキ属の仲間。
トガリバサザンカ、トガリバツバキ、ヤナギバサザンカも、ツバキでもサザンカでもないツバキ属の仲間である。

和名は見た目などから名付けられたものが多く、地方や地域の慣習や伝統を重視してサザンカとかツバキとか名が付けられているが、植物学的に「ツバキ」か「サザンカ」か「そのどちらでもないツバキの仲間」かを判断するには、学名を調べるのがもっとも手っ取り早い、ということになる。
だからといって、アブラツバキを「ツバキではない」などと言ったら叱られるだろう。
だって、伝統的にアブラツバキと呼んできたのだから、アブラツバキはやはりツバキなのだ。