
撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.01.21
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
一年間、バショウ(芭蕉)を見ていて漠然と見過ごしていたが、花が枯れ残った今ごろになって、この異様な姿に気が付いた。
バショウ(学名:Musa basjoo)はバショウ科の多年草で、中国が原産といわれている。
ちなみに、バナナはバショウ科バショウ属だ、と調べて知った。
写真で下のほうに垂れ下がっているのは雄花の枯れ残りらしい。
花序の付け根に雌花があって、バナナのような果実を付けるのだという。
写真の左上は、その果実が干からびたということなのかどうか…、よくわからない。
今年はもう少し注意して観察することにしよう。
以下、昨年5月〜7月のバショウの様子を並べてみる。
〈5月11日 撮影〉

新しく出てきたバショウの隣りに、前年のバショウの茎が見える。
中国原産の多年草だそうだ。
初夏から夏までのうちに撮影した写真が残っているので紹介するが、呆れるほどにどんどん大きく育つ。
最初に雌花が咲いて果実ができるけれど、花序はそのまま伸び続けて雄花が咲き始める、という。
自家受粉を避ける工夫だろう。
〈5月28日 撮影〉

〈7月8日 撮影〉

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.07.08
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD F012
なお、Wikipediaによると、松尾宗房 が江戸深川に構えた庵を当初は「草庵」といった。
そこへ植えたバショウが生長して名物となったことからこの庵を「芭蕉庵」と呼ぶようになり、これを受けて、本人が自分の俳号を「芭蕉」と称したそうである。

撮影場所:根岸森林公園
撮影日:2018.02.24
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
昨晩のオウバイ(黄梅)の記事で、その隣りにある「テッケン(酈懸)」の花の写真を一枚だけ紹介した。
しかし、小石川植物園のテッケンの花はやや傷んでいて、雄しべが絡んでいるものが多く、あまり美しくない。
そこで今晩は2月24日に撮影した根岸森林公園のテッケンを紹介したい。

テッケンは「茶筅梅」の別名で知られ、オウバイ(黄梅)とは異なり、各地の梅林で見ることができる。
野梅系の梅で人気もあるようだ。
名前の「酈懸」は、謡曲「菊慈童」に 霊水が流れ出す中国の山の名前として出てくる。
花弁が退化して雌しべと雄しべだけになっているため、黄色い雄しべの葯が目立つ。梅林の中でこの木が満開になっていると、その付近だけ空間が黄色く染まったような印象を受ける。

根岸森林公園の梅は1月になってから花芽の付いた低い枝を伐り、新しい枝を上の方へ伸ばすという、日本古来の梅の楽しみ方を否定するような剪定の仕方をしているが、このテッケンは樹勢が弱くてあまり上へ伸びないので、低いところにしか枝がない。
それで2月24日には低い位置にも花を付けており、この撮影が可能になった。
尾形光琳の「紅白梅図屏風」など、日本画の名作を見てほしい。
梅は低く枝を伸ばし、数多くのつぼみがある中にいくつか数少なく開いた花を楽しむのがよい。
桜は満開の姿を愛でるから、ひとつひとつの花はよく見えなくてもよい。大きな木全体に咲き誇る花の下で楽しめばよい。
日本古来の伝統を否定するような昨今の梅林の風潮は、たいへん残念である。

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.02.20
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 下の写真も同じ
黄梅(オウバイ)を名乗る花はいろいろある。
オウバイをネットで検索すれば、ヒットするのはモクセイ科ソケイ属(ジャスミン属)の黄梅(オウバイ)であり、それに次いで ウンナンオウバイ(雲南黄梅)が出てくる。
上の2種はすでに当ブログで紹介済みだ。
しかし、この記事で扱うのは梅の仲間の黄梅である。

よく知られているのは鎌倉・瑞泉寺本堂前の黄梅だ。
瑞泉寺本堂前の黄梅は、江戸時代からの古木で、野富太郎博士によって名付けられた、という。
小石川植物園の黄梅の学名は Prunus mume cv. Ohbai, Rosaceae.で正真正銘の梅である。見たところでは、瑞泉寺のものと同じ梅のようだ。
私は San Poの会で瑞泉寺を訪問したとき実物を見ているが、iPhone しか持っていなかったので撮影を諦めた経緯がある。写真はすべて小石川植物園で撮影したものだ。
花弁がやや退化してほっそりとしている。だから数多い雄しべの葯の黄色が目立ち、それで「黄梅」と名付けられたのだろう。

なお、「花弁の退化」についていえば「テッケン(酈懸)」という梅がある。
《オウバイの隣の木「テッケン(酈懸)」》

テッケンは花弁がほとんどすべて退化して無くなっている。花に個体差があり、ときおり花弁が少しだけ残っていたり、しっかり残っている花もたまに出てくる。
当ブログでは過去に根岸森林公園の「テッケン(酈懸)」を数回紹介しているが、小石川植物園では「オウバイ(黄梅)」の隣りに植えられていて、見比べていると「オウバイ」という梅の成り立ちがわかりやすい。
テッケン(酈懸)は梅の図鑑にもよく載っていて、各地の梅林にも植えられているようだが、オウバイ(黄梅)は鎌倉・瑞泉寺と小石川植物園以外にもあるのだろうか。私は聞いたことがない。
次回は、テッケン(酈懸)の紹介記事を予定している。
久しぶりに根岸森林公園の梅を撮ろうか、と梅林に行った。しかし早咲き、中咲きともにすっかり傷んでいて、遅咲きはほとんど開花していない。
がっかりして帰ろうと池の傍を通りかかったところ、カメラマンが二人、対岸のほうへカメラを向けている。
カワセミがいる、と聞いてびっくり!
これまで13年も根岸森林公園を歩いていて、池にカワセミがいるなどというのは初めてだ。

撮影場所:根岸森林公園
撮影日:2018.02.24
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF70-300mm f/4-5.6L IS USM 以下同じ
池に飛び込むのを何回か見てから、10:20:00 秒から10:21:00 秒までのあいだに、
ISO感度を 4000 から 12800 に設定しなおした。
あまりに飛ぶ動きが速いので、シャッター速度を上げようとしたのである。
絞り優先 f/5.6で待った。
1枚目は10:21:19



2枚目は10:21:35
3枚目も10.21:35
4枚目も10:21:35 秒だから、2枚目から4枚目まですべて1秒以内の写真で、連写機能を使って撮影している。
カメラの角度を変えて追いかけて撮れたのは、ただツキとしか言いようがない。
水面に飛び込む場面がない、なんて言われても、速すぎて私の眼とカメラの角度の修正が追い着かないのだ。
ぴちゃ〜ん、という大きな音が響いて聞こえた。

5枚目は10:21:38 秒で、3〜4秒後にはまた近くの木の枝に戻っていた。
トリミング、明るさの変更、感度の高さから生じるザラつきの軽減などの補正をしてある。
とくに鳥を追いかけて撮影しているわけではない。私の野鳥写真はすべて花写真のついでだ。
カワセミは同じ場所で何度も池に飛び込むので、100mmマクロ・レンズから望遠ズームへ取り替える時間は十分あった。感度を上げたり、設定を見直す余裕もあった。
梅は撮り損ねたが、スキップをかみさんに任せて出掛けた意欲は、別のかたちで報われたのだった。

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2017.02.15
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 2枚目も同じ
ニシキマンサクは花弁が赤から黄色へと、先端に行くほど変化する
では美しいのかと期待するが、2017年、2018年とろくな写真が撮れていない。
もともと、多雪地の山地に生える日本在来種マルバマンサクの変種で、日本海側の山地に自生するとされている植物だから、小石川植物園では元気がないのかも知れないと思っていたところ、
小石川植物園のニシキマンサクは「栽培種」、との情報もある。

朝日新聞社の「花おりおり」はニシキマンサクの栽培種について「花弁の赤みが広がり、葉先は尖る(丸葉ではないの意味)」と記述している。
しかし、正直にいうと 花の時季にしか注目しないから、葉についてはまた観察できていない。

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.02.20
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 下の写真も同じ
さて、過去記事を少しまとめると、よく見られるマンサクには下記のような種類があるようだ。
日本原産 マンサク
マルバマンサク(北海道から東北地方などの日本海側の野生種)
マルバマンサクの変種 アカバナマンサク
ニシキマンサク
アテツマンサク(マンサクのうち中国・四国地方(愛媛県)に分布する変種)
中国原産 シナマンサク
北米原産 アカバナマンサクの園芸種(アメリカで作出されたマンサクとシナマンサクの交配種など数種)
アメリカマンサク
ハヤザキマンサク

さて、これで今春のマンサクの記事でまだ書いていないのは、アテツマンサクの記事のみとなった。
(注)この前に「ハヤザキマンサク」の記事があります。

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.02.20
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下同じ
上の「ハヤザキマンサク」の写真をご覧になると、「全体にややオレンジ色がかっている」ような印象を受けるかも知れない。
しかし、近付いて冷静に花弁の色を比較してみると、花弁の色そのものは付け根に多少赤成分が混じっているようだが、とくに強くオレンジ色がかっている、ということはないようだ。
シナマンサクなどと比較してみると、ハヤザキマンサクは花の中央の萼が反り返り、陽の光を浴びやすく、萼の赤褐色が目立ちやすいので、人の目には全体にややオレンジ色がかっている、との印象を与えるのではないか、と思う。

そのほかにも、この「ハヤザキマンサク(早咲きマンサク)」にはいろいろな誤解が生じている。
「ハヤザキマンサク」は北米産のマンサクだが、そう聞くと11月頃に開花する「アメリカマンサク」のことか、と思ってしまうだろう。
しかし、ハヤザキマンサクが開花するのはおおよそ2月なのだ。
「ハヤザキマンサク」は北米産のマンサクだが、「アメリカマンサク」とは別種である。
ネットでは、この2種を混同した記事をよく見かける。

京都府立植物園のアメリカマンサクの写真を見ると、アメリカマンサクの萼はアテツマンサクの萼のように赤褐色ではないようだ。
横浜市環境支援センターにアメリカマンサクの木があることを思い出し、私は写真を撮り損ねているので、「楽のデジカメ散歩3」の 楽 さんの 写真記事を検索してみた。
横浜環境支援センターで 楽 さんが昨年の11月27日に撮影された写真 を拝見すると、確かに萼は赤褐色ではなく、花弁と同様に黄色っぽいようだ。
上のように、「ハヤザキマンサク」と「アメリカマンサク」はやはり別種なのである。
ちなみに、朝日新聞社の『花おりおり』では 、この「ハヤザキマンサク」を「アメリカマンサク」の名称で紹介し、秋(11月)に咲くほうは「アキザキマンサク」として区別していた。
本種については下記のように書かれている。
「マンサク属中花弁が最も短く、12ミリほど、花は日の当たる暖かい昼中は開き、寒い日は閉じ、まるまったりする。その開閉は数週間続く。花にはやや刺激臭がある」
《参考》アテツマンサク(2月7日 小石川植物園)

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.02.07
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM
なお、「アテツマンサク」についてはまた別途、写真記事を書く予定にしている。

撮影場所:小石川植物園
撮影日:2018.02.20
撮影機器:Canon EOS 5D Mark III
レンズ:EF100mm f/2.8L Macro IS USM 以下同じ
昨晩の記事の繰り返しになるが、
日本には、通常のフクジュソウのほかに キタミフクジュソウ、シコクフクジュソウ、そしてこの 「ミチノクフクジュソウ」の4種が分布している、
ミチノクフクジュソウ(陸奥福寿草)は本州と九州に分布。環境省のレッドリストの準絶滅危惧種だ。ミチノク(陸奥)と名前が付いているが、本州、九州に広く分布しているらしい。

一般のフクジュソウとの相違点は、萼片が花弁よりかなり短い、茎が中空、種ができるという特徴がある、という。
なお、フクジュソウは「萼片」といっても花弁同様に長く黄色いので、気をつけて観察しないと花弁と区別が付きにくい。花被片と呼ぶのがむしろ適当かも知れない。
ミチノクフクジュソウはフクジュソウと違い、萼片が花弁よりずっと短いのだそうである。

昨日の写真記事のフクジュソウは一時的に日が翳ったときに撮影したが、本日のミチノクフクジュソウは強い陽射しを浴びている。
どのようなカメラでも、一般的に黄色は色飛びしやすく、陽を浴びる黄色いフクジュソウを撮影するとどの部分も黄色なので細部が判別しにくくなる。
今回の写真の仕上がりは、同じカメラとレンズを使い続けて5年半、ようやく合格ラインに達したという実感がある。
なお、最後の写真は花弁がややグリーンがかっているが、実際にそういう色合いだった。