

6月3日の日経新聞夕刊に、中世のテンペラと油彩の混合技法を追求してきた日本の画家 川口起美雄 さんの個展が平塚市美術館で開催されている、とのコラム記事が載った。
昨年秋に東京都美術館で開催された「ウフィツィ美術館展」を契機にぼくはルネサンス美術に傾倒しているが、当時のボッティチェリなどの代表作はまだ油彩ではなくテンペラの技法で描かれていることから、上の記事に強く惹かれ、6月11日に平塚美術館に出かけた。

平塚市は、首都圏外の方には七夕祭りなどで知られた湘南地方の地方都市に過ぎないかも知れないが、平塚市美術館周辺を歩いてみると、文化の振興にも力が入っていると感じる。
上の写真は平塚市博物館の横を通って美術館に向かう小径だ。隣の工場の敷地と小道との境界の塀に、市内中学校の美術部の生徒たちが競って絵を描いているのが目を惹く。
当日は絵を観るのが目的だったから、写真はすべて iPhone による撮影だ。


上は平塚市博物館の庭園にあるD52。
【平塚市美術館】

平塚市美術館の2階だ。
壁に「川口起美雄 ー 絵画の錬金術師」と表示がある。

美術館の内部は広々として美しい。

ロビー脇の棚には画集ほか美術関係の本が並べられていて、自由に読むことができる。
もう少し広いデスク・スペースがほしい。

2階から出て、美術館の外庭を眺めたところ。
【横浜ゴム平塚製造所記念館】

平塚市というと、戦前から海軍火薬廠があったところ。その敷地は戦後、横浜ゴム平塚製造所に払い下げられ、戦後の同市の発展に寄与した。
写真は横浜ゴム平塚製造所記念館だ。
駅から北へ数分で平塚八幡宮があるが、その西隣に位置する。美術館へいくには八幡宮と横浜ゴム平塚製造所記念館のあいだに挟まれた細い道を北へ行くのが徒歩での近道だ。
写真の西洋館は、1912年頃に無煙火薬を製造していた「日本火薬製造」によって建造されたもので、英国から招いた支配人が居住していたらしい。戦後米軍に接収され、払い下げを受けた横浜ゴムが応接や会議に使用していたという。

現在は横浜ゴム社から平塚市に無償譲渡され、平塚市の管理下にある。

観光客は七夕祭りや砂浜での海水浴などに目が行きがちだが、こんなところもあります、という紹介だ。