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願わくは花の下にて…

2015.02.02(22:45)

141016 吉野山 西行庵への危険な道

 吉野山の金峯神社から山道を登り下りしつつ歩いています。
 やがて木の間から深い谷が見えてきて、その谷に沿って少しずつ下る道になるのですが、おそろしく深く、急な崖に沿って歩いていることに気が付きます。
 上の写真、左側が崖、道幅は1メートルもなく、どんどん細くなります。右側に見えているのは鉄パイプが2本通っているのです。
 木の枝とか、丸い石などが転がっていて、うかつに足を乗り上げて滑れば左の谷に落ちてしまいます。ものすごく急で、引っ掛かることなど到底望めません。
 桜の季節に西行庵への行き帰りが指定されている理由がよくわかりました。
 すれ違うことそのものが危険だからです。誰だって谷側を通りたくはないでしょう。
 「おれはインディ・ジョーンズではないぞ」と思いましたが、ここまできて引き返すわけにもいきません。
 カメラはバックパックにしまって両手を空け、姿勢を低くしてすぐに鉄パイプを掴むことができるようにしながら、慎重に足を進めました。


141016 吉野山 西行庵

 谷を10分ほど下ったところが開けていて、平たいスペースができていました。
 西行庵です。
 さきほど谷を数人の一行が先へ進んでいく様子が見えましたが、いまは誰もいません。


141016 吉野山 西行庵の屋根


141016 吉野山 西行像1

 ぼくが西行のことを詳しく知ったのは吉川英治さんの『新・平家物語』でした。
 俗名を佐藤義清という武士の出で、23歳で家族を捨てて出家。日本各地を旅し、気に入ったところでは庵を結ぶなどして、生涯を漂泊の旅に過ごし、多くの和歌を残しました。


141016 吉野山 西行像2

 ぼくと同世代には西行に惹かれる人も多いように感じます。漠然と、人生は旅のようなものと感じ、やがては土に帰るのみ、というような気分を抱いているからでしょうか。


141016 吉野山 西行庵の谷の対面の山

 西行庵の前から、谷を挟んで対面の山を見ています。
 それにしても、とんでもない山奥の、さらに谷を下った途中の隠れ家のような場所です。ほんとうにこんなところで一人で暮らしたのか、と驚かされます。
 有名な例の歌があるので、ここも桜の季節にはさぞ美しいのだろう、と思うのでした。

 願わくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ


141016 吉野山 西行庵周辺の木々1

 前の記事の地図にあるように、帰路は往路とは違う道を通って帰ります。


141016 吉野山 苔清水

 「苔清水」です。

 とくとくと 落つる岩間の 苔清水 くみほすほどもなき 住居かな


141016 吉野山 西行庵からの帰路

 帰り路は危険を感じるようなところはありませんでした。
 眺めを楽しみながら金峯神社まで歩きました。

2015年02月02日

  1. 願わくは花の下にて…(02/02)