
7月22日、本牧山頂公園の駐車場に近い登り口の付近です。
「コンフリー」と英名で書くのは、この植物を初めて知ったのが数年前の日大生物資源科学部(藤沢)のキャンパスで、コンフリーと教わったから。和名はヒレハリソウだそうです。
今回は久しぶりに見つけた、ということで写真に撮りました。

以前は健康食品としてブームになり、葉を天ぷらで食べたそうですが、Wikipedia によりますと、肝硬変、肝不全、肝臓癌を引き起こす例が海外で多数報告されたということで、2004年6月からは食品としての販売は禁止されているそうです。
毒性物質はピロリジジンアルカロイドのエチミジンという物質だそうで、濃度が高いのは根だそうです。

ムラサキ科ヒレハリソウ属、ヨーロッパ、西アジア原産。写真のコンフリーは高さ約80cmで横へ広がり、大きな株で目立ちました。


【リシュリュー枢機卿】(フィリップ・シャンパーニュ)

昨日紹介した「ルイ15世の肖像」の右隣は、ルイ13世の宰相「リシュリュー枢機卿」です。フィリップ・シャンパーニュという画家が描いたもの。
リシュリュー枢機卿はデュマの『三銃士』では三銃士とダルタニャンの宿敵でした。
すでに書きましたが、上の写真のように壁に所狭しと絵を並べ、この展示方法は将来も変えていけない、というのがオマール家からフランス学士院に資産すべてを寄贈する際の条件でした。
なお、上の写真は私ではなく、かみさんが撮影したものです。
【聖母子像】(カルロ・チニャーニ)

Carlo Cignani というボローニャの画家が描いた聖母子像です。
とても美しい絵です。
じつはラファエロの聖母子像もあったのですが、ぼくは撮ってなくて、かみさんが撮りましたが、部屋が暗すぎてノイズが強く入り、ここへ掲載することはできませんでした。
【テセウスは父の剣を見つけた】(ニコラ・プッサン)

後にアテナイの英雄となるテセウスが、預けられた先で成長して16歳となり、大岩の下に隠されていた父(アテナイの王アイゲウス)の子である証拠の品、剣とサンダルを見つける、というシーンです。
ギリシャ神話の一場面。
【秋〜あるいはワインの悪徳に関する寓意】(ボッティチェリ)

ボッティチェリ(ルネサンス時代のフィレンツェの画家)が描いた絵です。
【三世代】(フランソワ・ジェラール)

絵の題は「The Three Ages」、絵の雰囲気からして「三世代」と訳しましたがあっているでしょうか。
18世紀フランス新古典主義の画家 フランソワ・ジェラールが描いた絵です。
フランソワ・ジェラールには「プシュケとアモール」の題材で描いたとても官能的な絵がありまして、それが有名。そちらはご覧になった方も多いかも知れません。
【湯船のガブリエル・デストレ】(フォンテーヌブロー派の画家)

ガブリエル・デストレというのはブルボン朝初代のアンリ4世の愛妾です。画家は「フォンテーヌブロー派の画家」。個人名はないのか、と言われるかも知れませんが、謎に包まれた芸術家集団だったそうです。
ガブリエル・デストレは肖像画の数がとても多く、有名なのは「ガブリエル・デストレとその妹」。左側の裸の女性が右側の裸の女性の乳首をつまんでいる、という絵です。
【ギャラリーの様子】

絵にはあまり興味がないのでおもしろくない、という方もいらっしゃったでしょうが、ぼくの個人的な旅行記を兼ねた記事なので、ご了承ください。
興味のない題材の場合は読み飛ばしていただくしかありません。
シャンティイ城の絵画は今晩で終わりで、明日は植物関係の写真記事に戻ります。

世界史の「絶対王政の確立」のところでよく使われる図版に『ルイ14世の肖像』がある。
あれは1701年にイアサント・リゴー(Hyacinthe Rigaud)という画家が描いたもので、現物はルーブル美術館にある。
イアサント・リゴーはカタルーニャ人だが、ルイ14世時代の宮廷肖像画家として活躍した。
写真の絵もリゴーが描いたものだが、モデルは「ルイ15世」だ。
ほぼ同じ絵がヴェルサイユ宮殿にもあるらしい。この時代、スペインなどの王家に贈るとして同じ絵を描かせるなどしたというので、同じ画家の同じ絵があっても不思議ではないらしい。

女性の肖像画は『ポンパドゥール侯爵夫人』(画家は不明)だ。ルイ15世の愛妾だが、実力者でもあり、しばしば政治にも干渉した、と言われている。カンタン・ド・ラトゥールやフランソワ・ブーシェが描いた大きな肖像画が知られているが、この肖像画は小さい。
髪型などで当時のファッション界をリードした、とも言われている。
なにしろ、気が付いたときには「あと10分」を切っていたので、目に付いた絵を適当に撮っただけなのだが、絵画はわずか12枚ほどの写真しか撮っていないのに、その中からこんなふうに並べられるのだから、しっかりしたコレクションだと言えよう。
次回なんとか見られる写真を並べて、シャンティイ城の絵画コレクションの記事を終わりにしたい。
短い時間で画家やモデルのことをよくメモってきた、と思われるかも知れないが、「あと10分」というときにそんな暇があるはずがない。
今は Google の「画像検索」という手があるのだ。斜めに撮った写真でも、かなりの確率でヒットして、画家や、絵画の表題、モデルなどが判明する。
また、ぼくはフランスのブルボン王朝史が好きなので、かなりたくさんの本を読んでいる。この辺の歴史についてもともと詳しいのだ。
【鹿のギャラリー】

シャンティイ城の内部見学の記事を一番最初のところへ戻そう。
上の写真は、入り口を入ってすぐ右側の部屋「鹿のギャラリー」だ。
ぼくはこの部屋をちらっと覗いて、「なんだ、タピストリーの部屋か…」とろくによく見回しもしなかった、と書いた。ところが、この部屋の右奥に大ギャラリーが連なり、シャンティイ城の真の財宝はそこにあったのだ。
「礼拝堂」から出てきたとき、別行動のかみさんと出会い、「絵は見たか」と訊かれて、「そうだ、アングルの絵とか、たくさん名画があると聞いていた。肝心のそれをまだ見ていないではないか!」と忘れていたのに気が付いたのである。
この英仏旅行の中で、これこそが痛恨の失敗だ。
時計を見ると、集合時間まであと10分を切っているではないか!
【アングルの『ヴィーナスの誕生』】

というわけで、少し絵画の写真が続く。
まずはアングルだ。
正面の絵には『ヴィーナスの誕生』というタイトルが付けられているらしい。
じつは、ほぼ同じ構図の有名な作品がある。
天使とか余分なものがなく、裸婦だけを描いている。女性は髪に触っているのではなく、肩に大きな壺をかついで、その壺をひっくり返して水浴びをしている(実際には水は身体に掛かっていない)、という作品だ。
有名な『泉』という作品で、現物はオルセー美術館にある。
1981年に『アングル展』が開催され、作品が国立西洋美術館で展示されたのをぼくは観に行った。33年前だ。たいそう気に入って、ポスターも買った。
だから、『ヴィーナスの誕生』はぼくにとって「再会した」という思いが強い。
アングルという画家は「新古典派」の大家で、形(フォルム)、構図、線、輪郭を大切にする。ぼくの好みと合致している画家だ。
『ヴィーナスの誕生』は肖像画に囲まれているが、左はアングルの24歳のときの自画像だ。右は Madam Duvaucay(詳細不明)という女性。
【独特の展示方法】

なんだかごちゃごちゃと変な展示の仕方だ! と感じられる方もあるかも知れない。
このシャンティイ城・コンデ美術館に展示されている絵画は、オマール家からフランス学士院に寄贈されたときに条件があった。
「伝統的な展示法をいっさい変更してはならない」という遺言だった。
部屋の中、壁全体にところ狭しと絵画が並べられていて、「美術館らしくない」「もったいない」「ひとつひとつ近いところでじっくりみたい」「日本の国立美術館から要請があるので貸し出ししたい」などといっても絶対に不可である。
だからぼくは「大失敗だった」と後悔している。日本から13時間、パリから1時間以上かけて、このシャンティイ城を訪れない限り、これらの美術品とは対面できないのである。

本日は「ディックの花通信」は休憩です。
モミジバアオイ、ハマボウの記事がつづいた余勢で、本牧山頂公園のムクゲをいくつか並べてみました。






【日常の記録】(一週間のまとめ)
7月21日、18日以降草むしり連続4日間の総仕上げ。横浜市では枝を落とした植木や刈った草などは大きなゴミ袋へ入れて出しますが、計14袋となりました。
7月22日、本牧周辺、本牧山頂公園の散策。モミジバアオイの写真など。スポーツジムでストレッチ&トレーニング
7月23日、神楽坂にてグループ写真展 Photo STAGE NEXT Ⅲ 「あっ! ノスタルジック」を鑑賞。
ブログの友人たちと会食、ゲスト 写真家 伊澤利夫さん。
7月24日、横浜市こども植物園、英連邦戦没者墓地を散策。ハマボウと写真など。
7月25日、国立新美術館の「オルセー美術館展」、富士フイルムフォトサロンで「中村守 写真展 奥信濃路」ほか。
7月26日、三渓園散策。オオガハスの写真など。午後綱島の病院へ義父のお見舞い。『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(チャールズ・ユウ)を読了。
そのほか、映画版「スタートレック」シリーズ。第7作〜第11作まで観ました。第7作『ジェネレーションズ』、第8作『ファーストコンタクト』、第9作『スタートレック 叛乱』、第10作『ネメシス/S.T.X』、第11作『スター・トレック』(2009年版)。

7月25日、横浜市こども植物園のこの広場まで階段を登ってくると、突然この花に出会いました。
「ハマボウ」です。

大きな花が、樹木全体に咲いているので、かなりの迫力があります。高さ2.8m ほど、横への広がり約5m。

しかし全体を一枚の画面におさめてしまうと、上のような写真となってしまい、花の大きさを再現できず、こぢんまりとして迫力がなくなってしまいます。


Wikipedia で調べてみました。
ハマボウ(浜朴あるいは黄槿)、学名 Hibiscus hamabo は、アオイ科の落葉低木。西日本から韓国済州島、奄美大島まで分布し、内湾海岸に自生する塩生植物だそうです。


絶滅危惧植物だそうです。神奈川県では絶滅危惧I類(CR+EN)。
ハマボウという名はどこかで聞いた憶えがあるので調べてみたら、横須賀市の天神島にあるようです。スカシユリなど撮影にいったときに、掲示板などで見たのでしょう。


この記事はアオイ科ということで、昨日の記事からの続きを意識して書いています。
ハマボウは花数が多いですね。黄色の花が咲き終わるとしぼんでオレンジ色に変わるようです。ムクゲやフヨウと同様、一日花だということですが、ひと夏にどれだけの花を咲かせるのでしょうか。

【日常の記録】
7月26日、早朝三渓園の蓮池へオオガハスを観に行きました。午後は義父の見舞いに綱島の病院へ行きました。

花のかたちを見て「ハイビスカス」ではないか、と思われる方もいらっしゃると思いますが、ハイビスカスの葉というのは、少し眺めのハート形に鋸歯が付いたような形をしていて、このような細い葉ではありません。
たしかにハイビスカスの仲間ですが、北アメリカ東南部産の「モミジバアオイ」ないし「モミジアオイ」と呼ばれている花です。
ご近所のMさん宅のお庭に咲いている花を撮っています。
「モミジバ」にしては葉の切れ込みが深すぎるではないか、と言われるかも知れませんが、和名をそう付けられたのだから仕方ありません。
花弁の付け根が隣と離れているのも特徴のようですが、本牧和田公園の近くのお宅で撮影してきた以下の花をご覧ください。

こちらは「なるほどモミジバだ」と納得できる葉の形であり、花弁の付け根の隙間が少なく、ぼくにはこちらのほうが美しく見えます、
しかし、調べてみると、モミジバアオイには同属の「アメリカフヨウ」との雑種があるとのことで、特徴は「花びらの幅がいくぶんか広く、ふっくらした印象を受ける。葉の幅もやや広い」そうです。こちらのお宅のモミジバアオイはその雑種のほうかも知れません。





背景の黄色にご注目!

花をかたどったこんなのも、何色か並べられていました。なかなかおもしろいです。

このお宅は、アメリカフヨウ、モミジバアオイなどの仲間の花がとてもお気に入りのようです。
上の写真はかなり大きな花でした。アメリカフヨウなのかどうなのか…。

上と下、アメリカフヨウにしては花がやや小さく感じられ、どういう品種かわかりません。
やはり、ハイビスカスの近縁種でしょうね。

【日常の記録】
7月24日の晩はまた、夕刻以降ずっと落雷気味の天候で、PCの電源を入れることはためらわれ、ブログはお休みさせていただきました。
午前中は横浜市こども植物園ですばらしいハマボウの花を見て、付近の「英連邦戦没者墓地」にも立ち寄りました。
7月25日、国立新美術館の「オルセー美術館展」を楽しんできました。