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ディック・フランシスの新刊が出版

2009.01.19(18:35)

審判 (ハヤカワ・ノヴェルズ)
審判 (ハヤカワ・ノヴェルズ)


 花通信で草花に関係しない小説の紹介をするのは初めてですが、これには意味があります。
 ぼくのネットのニック・ネーム「ディック」の由来は、この小説の著者「ディック・フランシス」のディックを借りているのです。


 ディック・フランシスは1920年生まれ、障害競馬の騎手として第一線で活躍していたが57年に引退した。サンデー・エクスプレス紙に競馬記事を書き始め、自伝『女王陛下の騎手』(ハヤカワ文庫)を発表して作家デビューした。処女作『本命』以下、競馬界に関連したミステリは人気を博し、数々の賞を受賞、日本ではハヤカワポケットミステリで早川書房のドル箱になった。
 しかし、最愛の妻メアリが2000年に死去、創作面での協力者がいなくなり、彼はペンを置いたかにみえた。新作が発表されることがなくなり、敬愛する作家の小説を読めなくなって、ぼくはとても寂しい想いをしていた。
 ところが2006年、彼は『再起』で奇跡のカムバック。翌年には息子との共著で『祝宴』を発表した。そして昨年暮れに本書『審判』が出版された。41冊目の長編である。
 ぼくがとくにこの小説を紹介するのは、本書がとても優れた小説となっているからだ。

 主人公のジェフリー・メイスンは休日に障害レースを楽しむアマチュア騎手だ。騎手仲間たちからつけられた渾名はペリー、それはジェフリーが法廷弁護士を本職としているからだった。
 本職のジョッキーのあいだで諍いがあり、ある日トップ・ジョッキーが干し草用のピッチフォークで串刺しにされる事件が起きた。疑われたのは騎手仲間のスティーヴ・ミッチェル。そのミッチェルはジェフリーに弁護を依頼してきた。
 ジェフリー自身がミッチェルを疑っていたのだが、ミッチェルを有罪にしろと執拗な脅迫が始まり、ジェフリーはかえってミッチェルの潔白を信じるようになっていく。
 ジェフリーが意地になってあれこれ調査をすればするほど、脅迫はエスカレートして、彼の父親や恋人にまで魔手が伸びていく。ジェフリーは脅迫に屈服するのか、それとも命を賭けて戦うのか…。


 21ページに美しい場面がある。叔父に連れられて見に行った障害馬レースが、まだ12歳の少年の心をしっかり捉える場面が描かれる。誰の思い出がここに反映しているのだろう? ディック・フランシス本人か、それとも息子のフェリックスのほうなのか…。
 さすがに老齢のためだろうか、本書はディック・フランシスと息子フェリックスの共著として発表された2冊目なのだ。

 本書は登場人物の造型や、女性関係の描き方、競馬界、法曹界についての書き込みなど、全般にわたってきわめてハイレベルな小説になっている。サスペンス溢れる物語の骨格と、魅力的な主人公の人物造型を父親から学んだ息子フェリックスが、父親ディック・フランシスのアドバイスを得つつ書いているのだろう、とぼくは推測する。息子フェリックスが作家として充実してきたのだ。
 親子二代の小説リレー、これからますます楽しみだ。

 「ディックの本棚」の感想 → 『審判』

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 きょうは会社を休んでカイロ・プラクティックというのへ行ってきました。
 いろいろと指摘を受け、一通りの施術を受けると、腰の痛みは残っているにせよ、すっと立ち上がれるようになるから不思議です。
 次は土曜日、3回ほどやれば回復するでしょう、と言われ、ほっとしております。


2009年01月19日

  1. ディック・フランシスの新刊が出版(01/19)