
クライスト・チャーチの周辺からの帰路は、脇道の狭い通りを覗いてみて、雰囲気を味わおうと試みました。
そんな写真が多くなります。

何枚写真を撮影しても、近代的なビルというものが写り込まない。そんな街路は日本的な感覚からはとても不思議です。
日本では古くなった建物は壊して、近代的な大きなビルに建て替えていくところ、英国は古い建物を大切にして、それを直しながら使うようです。日本では新しい建物ほど価格は高いのですが、英国では古い建物ほど価格が高くなる、と聞きました。




中世初期にグレートブリテン島に侵入したアングロ・サクソン人は、同島南部から中部にかけての地域に七つの王国を建国したそうです。それらがやがてまとまってイングランドが形成されていく。オクスフォードのこの建物はオクスフォードで一番古く、サクソン人が入ってきた時代の建物だそうです。
サクソン・タワーと呼ばれているようです。



オクスフォードに限らず、英国の街ではこのようなフラワーポットが釣り下げてあるのをよく目にしました。
あとで当日宿泊したオクスフォード郊外のホテルの写真を載せますが、ホテルの前庭は花壇がとても美しい。花を愛し、花で街路や庭を飾り、自分の住居だけでなく、みなに楽しんでもらう。英国ではどこの町でも、そういう気持ちが伝わってきます。


『セザンヌ展』が開かれているようです。

そろそろ集合場所が近付いてきたようです。

このあとは、バスで郊外のホテルへと向かいます。

ようやく現代風の建物が出てきました。
The Oxford Hotel です。

建物は現代的ですが、周辺の景色はなかなかです。

前庭は英国らしく、花がいっぱいです。

さて、オクスフォードの旅の記録はこれで終わりですが、翌日はローシャムハウス・ガーデンというよく知られたイングリッシュ・ガーデンを訪れました。いずれまた近いうちに紹介いたします。
【日常の記録】
1月18日、根岸森林公園梅林など散策・撮影。『重力の再発見』(ジョン・W・モファット)読了。『新米刑事モース〜 Case 8 黒の絞殺魔』を観た。
1月19日、北鎌倉・明月院にロウバイを見にいったが、カメラのメモリを入れ忘れていた。午後、『ローマ人の物語41〜ローマ世界の終焉』(上)読了。『新米刑事モース〜 Case 9 腐った林檎』
1月20日、鎌倉散策(明月院、大巧寺、海蔵寺、源氏山公園)。
1月21日、スキップの散歩で根岸森林公園へ。帰宅後カメラを持ってもう一度根岸森林公園へ。「紅冬至」の撮影。『その女アレックス』(ピエール・ルメートル)読了。

前回、クライスト・チャーチのゲートが見学時間外で閉まっていて中へ入ることができなかった、と書きました。それでも諦めきれず、周囲をふらふらと歩き始めた、と。
バス・ストップの地図のことも書きました。「YOU ARE HERE」とこんなふうにあるので、南から来ましたから左へ曲がり、何かもう少し見えないか、と歩きます。


Christ Church Meadow は入ってもよいことになっているようなので、どんどん歩いていきました。
このあと、美しい景色が開けてきますが、この雰囲気は映画で見たことがあります。

WOWOW で「新米刑事モース」というシリーズを不定期に放送しています。
時代は60年代半ば。オクスフォード大学を中退し、王立通信軍団に入って後に警官になったエンデバー・モースは、配属先の仕事が合わないので警官を辞めるつもりでいました。
そんなとき、オクスフォード・カウリー警察署の応援要請で、学生時代に過ごしたオクスフォードへ派遣されることになるのです。
若いモースですが、クロスワードやクラシック、とくにオペラが大好きだったり、古い歴史文化に詳しかったり、学がありすぎてなかなか警官の生活に馴染めないでいましたが、このオクスフォードで息を吹き返します。
オクスフォードは大学の街であり、ここで起きる事件の捜査には、学識のある被害者、被疑者、関係者が多い。ふつうでは警察官が気が付かない事柄をヒントにして、事件を解決。モースの活躍が始まります。


「新米刑事モース」のシリーズの魅力は、古い伝統や事物を大切にする英国の風土の中でも、とりわけそうした文化が色濃く残るオクスフォードを舞台にしていることなのです。
オクスフォードのカレッジのキャンパス、ああ、映画でもこんな感じだった。歩いてみてよかった、と感じました。
ぼくの場合、映画とか小説とか、いろいろと見たり読んだりしているので、そうした体験からイメージを膨らませ、旅を楽しんでいることが多いようです。
〈ご参考〉ウッドストック行き最終バス/コリン・デクスター(モース・シリーズの原作の感想です)

写真で見えている建物は、クライスト・チャーチの建物を横(北)のほうから眺めているのだと思われます。
Google の画像検索でもわかるのですが、これがクライスト・チャーチの何の建物なのかまではわかりません。




そろそろ諦めて通りをもどろう、と考えます。
深入りすると、訳がわからなくなり、帰れなくなると困ります。

狭い通りでも、どこでも絵になるように感じます。

2014年6月17日午前中、ユーロスターでパリからロンドン入りし、Garden of the Roses の見学後、Woburn Abbey でアフタヌーン・ティーを楽しみ、それからオクスフォードへと向かいました。
どこか立ち寄った気がします。というのは、カメラのメモリーの番号が連続しない。60枚ほど番号が飛んでるのは、勘違いして消去してしまったのか…。
夕刻、オクスフォードの街中でいきなり放り出されました。Woburn Abbey でのアフタヌーン・ティーが遅い時間でしたし、宿泊予定の郊外のホテルでは夕食の支度がない。「オクスフォードで軽く夕食をされるか、何かサンドイッチなど買って、ホテルで食べるかしてください。しばらく自由時間とします」というので、食糧の調達はかみさんに任せて、「ぼくはちょっと街中をふらついてくる」と言って歩き出したものの、オクスフォードについて何の予習もしていないし、自分がどこにいるのかもよくわかっていない。降りたところへ戻ってこなければならないので、あまり遠くへ行くわけにもいかないのです。
だいたい撮影した時間順に写真は並んでいますが、最初のうちはいきなり放り出されたショックで、撮影した写真からもかなり困惑している感じが伝わってきます。自分がどこで何にカメラを向けているのかもよく理解していないまま、とりあえず街の雰囲気を撮っておこう、というくらいの気持ちでした。
上は、オクスフォードの初写真。殉教した聖人の慰霊塔とか言っていたように思います。一見目立ちますが、こうした古い建物は町中にあり、これもとくに名の知られた名所というわけではないようです。

上の写真は、集合場所の手掛かりになるかと、最後に撮ったものですが、これでは現在地を割り出すのがたいへんです。

若者が多いのは基本的にオクスフォードが学生の街だから。イギリス人は概してきちんとした服装の人が多いのですが、オクスフォードではラフな服装が目立ちました。
また自転車が多い。建物は教会が多く、あちらこちらに尖塔が目立ちます。ぼくはふらふらと大きな塔が見えるほうへと街路を歩いていきました。

しばらく歩いていくうちに、バスストップに地図があり、街の中のどこにいるかだけはわかってくるようになりましたが、だからといって、主たる観光スポットがどこなのかわかっているわけではないので、地図を見ても役には立ちません。


朝からバスで移動していたので、事実上ここが初めて歩く英国の街。後から見ると、戸惑いつつも、なんとか街の雰囲気を撮っておこうとしているのが伝わってきます。

これも日本人の目から見ればきれいな塔ですが、後から調べてもわかりません。とくに名所というわけではないようです。


この辺から、「あの塔をめざそう」とはっきり意識していました。
写真もどうやら落ち着いてきます。ここからが本番です。

これが有名な クライスト・チャーチだとわかるのですが、やはりひときわ立派に見えます。Wikipedia によれば、オックスフォード大学の最大かつ裕福なカレッジ。オックスフォード主教管区の大聖堂でもある、そうです。このようにカレッジと教会の区分が曖昧で、なんだかとても混乱します。
このあと、バスの停まっているバス亭の横のゲートから入れないかと思いましたが、写真は明るくてもも夕方の6時を回っていまして、もう見学時間は過ぎて、門は閉まっていました。

ゲートの前から、中庭を覗いて撮影しています。見えているのが多分大聖堂の尖塔だろうと思いますが、書いたような事情ですから、自信はありません。
下はゲートの天井部分です。

さて、この後、クライスト・チャーチを諦めきれず、ぐるぐるとその周辺を回って歩こうと試みます。
それで、思いの外美しい、メイン・ストリートとはまた別の、すばらしいオクスフォード風景と巡り会います。 枚数が多くなりましたので、それは残念ながらまた次回。