
以前、学生時代からのミステリ・ファンだと書いたことがあった。
三つ子の魂百まで というが、ミステリ好きは変わっていない。ミステリ好きの人の原点にはアーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズがある場合が多いのが、現時点では再放送も含め、テレビでは3本のシャーロック・ホームズ・シリーズが放送されている。
その中でもっとも原作に忠実で、かつ原作の雰囲気をよく伝えているのがジェレミー・ブレットがホームズを演じる『シャーロック・ホームズの冒険』だ(NHKのBSプレミアムで不定期に再放送中)。
このテレビ映画の場合、ぼくが楽しみにしているのは物語としての展開よりも、ロンドンやロンドン近郊の田園地帯の様子を、原作当時に立ち返ってよく再現していることだ。
ホームズは貴族の令嬢などの捜査依頼でよくロンドン近郊の屋敷へ出かけていったりするのだが、その途中で垣間見える英国の田園風景がたまらなくいい。貴族の館とその周辺の様子など、じつに美しく、ぼくはそうしたシーンに憧れていた。

ついでだから言及するが、シャーロック・ホームズ21世紀に現る!という売り出し文句で、ホームズがネットやメールなどまで駆使して事件を捜査する様子を演じているのがベネディクト・カンバーバッチだ。
最新版の邦題は『シャーロック(SHERLOCK3)』で、NHKがこの正月に再放送した。シリーズの第3シーズンはたった3話しかないのだが、イギリスBBC制作のテレビ映画らしく、展開が捻りに捻ってあるので、なるほどこのレヴェルの作品は量産できるはずがない、と感心している。ぼくは SHERLOCK4 の放送を心待ちにしている。

また WOWOW で放送中の『エレメンタリー ホームズ &ワトソン in NY』は、コカイン中毒でロンドンにいられなくなったシャーロック・ホームズがニューヨークへやってきて、市警の顧問として活躍するという設定。
ワトソン役がルーシー・リュー。これは 元外科医 Joan Watson が、麻薬患者の立ち直り支援目的でホームズの父親に雇われて、ニューヨークのアパートメントで付き添いとして同居する、というとんでもない設定の米国産のシリーズ。ワトソンは役名からわかるように女性だ。
こんな変なドラマはとても見ていられないだろう、と思ったが、回を追うにしたがって物語が厚みを見せ、第2シーズン11話現在、ぼくは毎週楽しみに見ている。

写真は英国のウォバーン・アビー(Woburn Abbey)で、ブログ未掲載の写真を並べたもの。こういう景色が出てくるので、ジェレミー・ブレットの『シャーロック・ホームズの冒険』を楽しみに見ている、ということを言いたかった。
テレビの話なので、さらについでになるが、NHKの『ダウントン・アビー』はこの先どうなるのか、と目を離せない。









なお、本日は San Poの会 第101回なので、帰宅がやや遅くなり、みなさんのところへはうかがえないかも知れない。ご容赦を!

Woburn Abbey(ベッドフォード公爵私邸)の屋内見学を終えたあとは、Abbey 周辺の庭園の散策です。
あまりにも広く、限られた時間内に遠くへ行きすぎると戻ってこれなくなりますし、地図も持っていなかったので、どこをどう歩いたのか、まったくわかりません。
上の写真は Abbey(公爵の私邸)ではなく、何代目かの公爵が病院として建てた建物だったと記憶しています。




上は1枚目と同じ建物で、見る方向が違っているだけだと思います。




上9枚目と下10枚目は、かみさんが Olympus のコンパクト・デジカメで撮影しました。

ウォバーン・アビー庭園の写真は、あと1回つづきます。

「アフタヌーン・ティー」という言葉で Wikipedia を検索すると、「由来」の欄に
『1840年頃に第7代ベッドフォード公爵フランシス・ラッセルの夫人、アンナ・マリア( en:Anna Russell, Duchess of Bedford )によって始められたとされる。イギリスにおいてこのような慣習が始まったのは女性向けの社交の場としてと、もうひとつ、日本においては一般的に夕食時間とされる時間帯(19~21時)は、観劇やオペラ鑑賞や夜の社交などにあてられ夕食を摂るのが21時以降になるため、事前の腹ごしらえとしての意味がある』と書かれています。

じつはベッドフォード公爵については当ブログではすでに紹介済み。広大な敷地に憩う鹿の群れの写真を紹介したウォバーン・アビーは、ベッドフォード公爵の私邸です。すなわち、ウォバーン・アビーは英国のアフタヌーン・ティーの習慣の発祥の地というわけです。

上の写真をご覧ください。
看板に「Duchess' Tea Room」とあります。つまり「公爵夫人のティールーム」。
かみさんとぼくが参加したツアーでも、上の写真のティー・ルームでアフタヌーン・ティーを楽しむ時間がありました。

英国でも広大な領地と邸宅を残していくことはなかなか難しく、ナショナル・トラストによる保護に頼ることもできますが、このウォバーン・アビーは事業体として収益を追求する方法を選んだようです。
私邸を解放し、料金をとって見学させ、お客さんにアフタヌーン・ティーを提供するというのもその事業のひとつなのです。

ティールーム前の庭には各種の鳥たちがいます。誰も虐めたりはしないことがわかっていて、カモの親子が
ティー・ルームへ入ってきたりします。

アフタヌーン・ティーを楽しんだ後は、いよいよウォバーン・アビー屋内の見学です。
あらかじめお客さんに開放する部分を決めて見学コースが設定してありますが、そうはいっても、公爵夫妻や子どもたちが現に居住している私邸には変わりありません。
残念ながら、カメラ撮影は禁止となっています。
たとえば、数々の食器のセットなどが陳列されたりしています。ぴかぴかに磨き上げられていますが、銀器には実際に使用されていた証拠のナイフやフォークの痕跡がたくさん残っています。
公爵と言ってもいまは現代人。部屋には現第14代公爵の家族の写真なども飾られ、お子さんたちも一緒に写っています。男の子は次代の公爵、ということになります。

私邸の見学を終えて外へ出てきました。
上の写真、妙な構造物が写っていますが、Ladder Racks つまり「梯子架け」のようです。
説明書きによりますと、19世紀に作られた梯子架けでウォバーンアビーが火事になったときのためのものだそうです。幸運にも、使われたことはない、とのこと。
いまは「花籠架け」のスペースとなっています。

これらの花籠、すばらしいセンスですね。
【きょうあったおもしろかったこと】
スキップの散歩中に気が付いたのですが、
○ 馬の博物館の馬頭観音に、花のほかに にんじん がお供えしてありました。
○ 根岸森林公園前の交差点を、黒塗りのオースティンのタクシーが通り過ぎていきました。
ロンドンの街中の雰囲気が甦りました。
かみさんによると、先日横浜駅前から結婚式場までのあいだ乗ったタクシーがオーステインだったそうです。
運転手の話では、最近増えてきているそうです。内部が広く、とくに天井が高いのが特徴です。

11月30日からイギリスのテレビ映画シリーズ『ダウントン・アビー』の第2シーズンがNHKテレビで放送されます。それに先立ち、人気シリーズを見逃した方のため、11月1日深夜(2日午前)に第1シーズンのアンコール放送が予定されています。
第1シーズン第1話の始まりは…
———— 1912年。「ダウントン・アビー」当主のグランサム伯爵、ロバートに豪華客船タイタニック号沈没の知らせが入る。船には爵位と財産の継承者であるいとこと、その一人息子が乗っていたのだ。ロバートには3人の娘がいたが、女性には継承権がなく、悲報とともに相続人不在の事態に。次の継承権者は、面識もない中流階級の青年だった。一方、脚が悪いベイツが新しい従者として雇われる。その座を狙っていたトーマスは…。
というような物語なのですが、さて…。

そもそも アビー(Abbey)というのは大修道院ないしは「元大修道院で貴族の屋敷として使われるようになった大邸宅」のことをいいます。
そんなものが「どうして人気物語になるのか」というと、そもそもイギリスは階級制度が残っている国で、独特の文化を残している国だからです。
イングランド南東部にある巨大なカントリー・ハウスと領地の運営は、貴族が先祖代々引き継いできた「文化」なのであり、それを守ることに意義がある、と考えられているのです。

こんなふうに簡単に説明されても、文化の異なる日本人にはなかなか理解できません。
「Downton Abbey」のグランサム伯爵が必死に守ろうとしている大邸宅と領地、そして使用人たちの生活の様子は映画を見ていただかないと想像しにくいとは思いますが、ぼくは去る6月18日、ウォバーン・アビー(Woburn Abbey —— イングランドのベッドフォードシャー州ウォバーン付近に存在するベッドフォード公爵の邸宅)を訪問しましたので、その様子のごく一部を紹介したい、と思います。

最初に領地のゲートをくぐり、Abbey(大邸宅の建物)に達するまでの様子です。
動物たちを驚かさないよう、バスは低速運転を指示されており、ゆっくりと10〜15分以上走らなければなりません。いろいろとルートがあるらしく、すばらしい光景を見られるかどうかは運転手次第。バスのどちら側に座っているか、という運不運、動物たちがサービス精神を発揮してくれるかどうか、という運不運もあります。
この日、ぼくは unlucky だったようなので、昨年6月のかみさんの写真を中心に紹介します。昨年のかみさんのイギリス旅行と、今年の夫婦での旅行と、訪問先はこのウォバーン・アビーのみが重複していました。
つまりかみさんは2回目の Woburn Abbey 訪問なのでした。
以上の写真は昨年6月にかみさんが撮影した ベッドフォード公爵の領地内の様子です。
そして、以下の写真は今年6月、ぼくが撮影した領地内の様子です。

イギリスのホームページなど、どれだけ捜してみても、領地の広さを記載したものは見つかりませんでした。
どんな事業をやっているかとか、そういうことは詳しく記載されているのですが。

領地内の道路には、「騎乗者が横切ることがあるので注意」などの標識がたくさんありました。


領地内には大きな池というか
、湖もあります。


これが大邸宅 Woburn Abbey です。
以上の写真はすべて、この大邸宅へ向かうチャーター・バスの中から窓越しに撮影しています。
上の写真も、遠くから望遠レンズで撮影したものです。近くまでいってバスを降りてしまったら、建物が大きすぎて広角レンズでも歪んでしまい、よい写真が撮れません。